使用者は,セクハラの申告に対しては,誠実に対応する義務があり,被害者が意に反して退職することのないように職場の環境を整える義務があります。
まずは,会社としては十分な調査が必要です。被害者の申告のみをうのみにして,加害者である社員に懲戒処分等をなした場合に,後にその事実を争われ,事実関係が覆った場合には会社は損害賠償責任を負う場合があります。一方で,被害者からのセクハラの申告に対して,会社が何の対応もとらず被害者が就業困難になり退職に追い込まれてしまった場合や,セクハラを原因とする単なる個人的な対立関係とみて被害者に退職を求めたり,解雇するようなことがあると会社は責任を問われるおそれがあります。
事実関係の詳細な調査は必要ですが,調査の仕方によっては被害者の苦痛を深めますので調査は慎重に行う必要があります。専門の相談窓口を設け,専門の委員会等が調査を行うことが求められます。
調査の結果,セクハラがあったことが明らかになった場合,職場環境を守るため,適切に処理することが必要です。加害者に対しては配転命令や,懲戒処分が考えられますが,慎重に行う必要があります。
なお,男女雇用機会均等法第11条では,職場においてセクハラ行為を防止するため,雇用管理上必要な配慮をすることが義務づけられています。会社において,上記のように相談窓口を設けるほか,どのような行為がセクハラになるのか社内での明確化と周知,セクハラ防止のための教育,就業規則等での定め,起きた場合の適正かつ迅速な処理,再発防止のための措置等が求められます。
社内でのセクハラが適正に処理できず,公になった場合には会社の社会的評価は低下します。
社内でセクハラの相談などがあった場合には,迅速に対応する必要があります。まずは高木光春法律事務所にご相談ください。