借地・借家トラブル


借地契約終了時の建物買取請求権

建物買取請求とは、借地契約が借地人による契約不履行など、借地人の都合ではない理由で終了した場合に、賃借人が賃貸人に対し建物を買い取ってもらうことです。

造作買取請求とは、賃貸借契約継続中に、賃借人が賃借物に取り付けたもの(造作)を、賃貸人に買い取ってもらうことです。

借地契約が期間満了により終了し土地を返還する場合、本来であれば土地上の建物を取り壊して返還すべきということになりそうですが、それではあまりにも不経済です。とはいえ、賃貸人が、賃借人の所有していた建物をただで利用できるとすれば、賃借人の犠牲の下で賃貸人が合理的な理由もなく利益を受けることになりますから、不公平な結果となります。

そこで、認められたのが、賃借人による建物買取請求権です。

この権利を賃借人が行使した時点で、賃貸人との間で建物についての売買契約が成立してしまいます。しかも、建物買取請求権は、特約により排除することができません。

建物買取請求権は、賃借人の利益を守る、非常に強力な権利といえます。

なお、実際には、賃貸借期間が満了しても賃貸人は容易に更新を拒絶することはできず、借地権は事実上、半永久的な権利といっても差し支えがないほどに、強力な権利です。

 

建物買取請求権における「時価」とは?

建物買取請求権における「時価」は建物を取り壊した場合の動産としての価格ではなく、建物が現存するままの状態における価格であって、敷地の借地権の価格は加算すべきではないが、この建物の存在する場所的環境は参酌すべきとされています(最高裁昭和35年12月20日判決)。

 

借家人の造作買取請求権とは何ですか?

造作とは、借家人が建物に取り付けたもので、建物をより使いやすくするものをいいます。例えば、畳、ガラス戸、雨戸、ふすま、障子、電気・ガス・水道の設備、飾戸棚などがあります。エアコンなど取り外しができるものは造作にはなりません。

賃貸人の同意を得て取り付けた造作であれば、賃借人の契約不履行によらずに契約が終了した後、賃借人は賃貸人に対し買取を請求することができます。買取価格は当該造作の客観的な時価ということになります。

ただし、造作買取請求権は特約により排除されてしまいますので、契約書を最初によく確認しておく必要があります。

更新料の支払義務はあるのか?

30年の借地契約期間の満了に伴って、地主から更新料の支払いを請求されました。更新料は支払わなければならないのでしょうか。

 

借地契約で、更新料についての定めがなければ、地主から請求されても支払う必要はありません。また、更新料の定めがあっても、不当に高額であれば、交渉の余地があるでしょう。

 

更新料はどういう性質のものか?

更新料とは何かについては、昔から議論があり、一般的に、不足賃料の一括前払いや、更新拒絶しないことについての対価などと説明されています。

借地契約の更新時に、「慣習」として地主が更新料を請求してくることもあるようですが、更新料は法律に定めがないものですので、契約内容となっていない限り、支払義務はありません。また、更新料が契約内容となっていても、その金額が法外なものであれば、無効となることもあります。

更新料の金額・相場についてですが、借地契約で、具体的な金額や算定方法が決まっていれば、それによります。ただし、賃借人に一方的に不利な内容であれば、無効となる可能性があります。

「当事者双方の協議に基づき金額を決める」等の約定がある場合は、協議により決めることとなりますが、一般に、更地価格の3~5%とされることが多いと思われます。

 

地主から更新料を請求された場合の対処方法

賃貸人から一方的に更新料の支払いを求められても、言われるままにこれに従う必要はありません。まずは、更新料の授受に関する特約があるかを確認しましょう。

仮に特約がない場合であっても、賃貸人との関係はその後も続くものですので、支払を一切拒絶することが常に適切とはいえません。賃貸人との協議の中で、円満に契約更新をするための妥協点を見出していくことも大切です。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、更新料の授受に関するトラブルについても、ご相談、ご依頼をお受けしております。

更新料に関する協議は長期化することも多く、期間の経過とともに当事者間の溝が深くなり、ストレスも大きくなります。そのような場合は、法律家によるサポートが有効です。お悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

名義書換料(承諾料)について聞きたい。

借地上の家が、だいぶ老朽化しているので、不動産業者とも相談のうえ、更地にして新たな家を建て、借地権付きで他に売却することにしました。そのことを地主に相談したところ、「名義書換料」と引き換えに建替えと借地権譲渡を承諾するといわれました。名義書換料とはどのようなもので、どのくらいが相場ですか。また、名義書換料を払わなければ絶対に増改築はできないのでしょうか。

一般的な借地契約では、借地権譲渡や増改築は地主の承諾が必要とされており、承諾の代価として支払うのが「名義書換料」であり、比較的、一般的な慣習といえます。地主が承諾しない場合、裁判所に対し、「承諾に代わる許可」を求めることができます。

 

なぜ名義書換料の授受がなされるのか?

賃貸借契約では、法律上、無断での賃借権譲渡や転貸が禁止されているほか、契約で、無断で建物の増改築が禁止されているのが一般的です。

賃貸人とすれば、建物が増改築されるとそれだけ契約終了が遅くなり自身で土地を活用できなくなりますし、信頼関係を有しない第三者に借地権が譲渡されたり、増改築がなされたりすると借地管理に支障を来すおそれがあるためです。

もっとも、増改築や賃借権譲渡がなされるとしても、それに見合う見返りがあれば、賃貸人にとってもメリットのある話といえます。このような背景事情から、名義書換料の授受がなされるのです。

 

名義書換料の相場

「相場」は地域等によって変わりますが、概ね次のとおりといわれています。最終的には、当事者間の話し合いによって決められます。

 

種類 内容 相場
賃貸借譲渡、
転貸承諾料
賃借人が、賃借人としての地位(賃借権)を第三者に譲渡したり、自分は賃借人の地位に留まったまま第三者に転貸(又貸し)する際に授受されるもの。 借地権価格の10%程度。
借地権割合は、路線価図に記載がある。
建替え、
増改築承諾料
借地上の建物の建替え・増改築時に授受されるもの。 更地価格の3%程度。具体的な料率は、従前の建物と新建物との間に、規模、用途、構造、床面積等につき変更があるか、増改築の場合はその規模等に応じて、決められる。
借地権の
条件変更承諾料
建築する建物の種類など、借地条件を変更する場合に授受されるもの。 更地価格の10%程度。

 

賃貸人が借地権の売買を承諾してくれない

賃貸人が承諾してくれない場合は、賃借人は、裁判所に対し、「借地権設定者の承諾に代わる許可」(代諾許可)を求めることができます。

裁判所は、賃借人からの申立てを受け、双方から事情をきき、相当と認めるときは、その許可を与えることになります。このとき、裁判所は、賃貸人側にも配慮し、承諾料に相当する金銭の支払いと引き換えに、賃借権譲渡や建替え・増改築等を許可します。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、賃借人の方の代理人として交渉を行うほか、必要に応じて借地非訟手続を申し立て、借地権譲渡、建替え・増改築の目的を達成します。

賃貸人との交渉が難航している場合などは、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

借地上の建物の建替え・増改築

現在、借地上に建物を所有し居住していますが、だいぶ老朽化が進んできたので、建て替えか、増改築をしたいと思っています。どのような手続きを踏む必要があるでしょうか。

 

借地契約の場合、契約上、建替え・増改築には賃貸人の承諾を要するとされていることがほとんどです。その場合、賃貸人の承諾を得るため、交渉を行う必要があります。

 

地主の承諾は必要か?

借地契約には、「賃借人は、賃貸人の承諾なしに増改築をしてはならない」という条項が定められているのが一般的です。

賃貸人としては、自由に借地人が建替え・増改築を行えるとすれば、それだけ賃貸人自身による土地利用が妨げられ、借地権を強固なものとしてしまうからです。

もっとも、建物はいずれは古くなりますし、長い年月の間には、家族が増えて手狭になったり、家族の介護の必要性等から間取りや仕様を大きく変える必要が生じることもあります。

借地人としては、一切、建替え・増改築ができないとすると大変困ったことになります。

そこで、賃借人側が承諾料の支払いを提示し、賃貸人との間で合意を取り付け、建替え・増改築を行うのが通常です。

 

地主の承諾が得られない場合の対処方法

建替えや増改築をしたいのに、賃貸人がこれに承諾しない場合、「借地非訟手続」という制度を利用します。これは、裁判所に、「地主の承諾に代わる許可」を求めるものです。

申立てにあたっては、増改築の種類、規模、構造、使用の目的、借地権の対象土地、現存する建物、増改築部分のそれぞれの位置、形状及び相互の関係を示す図面などの記載、あるいは資料を添付する必要があります。

また、申立ては、増改築を始める前に行う必要があります。

裁判所は、さまざまな事情を考慮し、相当と認めるときは、「地主の承諾に代わる許可」を賃借人に与えます。

ただし、その際には、いわば承諾料に代わるものとして、賃貸人に対する一定額の金銭の支払いが命じられるのが通常です。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、賃借人の方の代理人として交渉を行うほか、必要に応じて借地非訟手続を申し立て、建替え・増改築の目的を達成します。

賃貸人との交渉が難航している場合などは、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

賃貸人が承諾しないと借地権は譲渡できないのか?

借地権を譲渡したいのに、賃貸人がこれに承諾しない場合、「借地非訟手続」という制度を利用します。これは、裁判所に、「地主の承諾に代わる許可」を求めるものです。

裁判所は、さまざまな事情を考慮し、相当と認めるときは、「地主の承諾に代わる許可」を賃借人に与えます。

ただし、その際には、いわば承諾料に代わるものとして、賃貸人に対する一定額の金銭の支払いが命じられるのが通常です。

なお、「借地非訟手続」を利用できるのは、「借地」の場合のみであり、「借家」の場合は利用できません。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、賃借人の方の代理人として交渉を行うほか、必要に応じて借地非訟手続を申し立て、借地権譲渡の目的を達成します。

賃貸人との交渉が難航している際は、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

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