皆さんは、地域司法という言葉を聞いたことがあるでしょうか。おそらくないでしょう。
この栃木県では、弁護士の間でもあまりなじみのない言葉です。
何時でも、何処でも、誰でも弁護士に相談することができ、裁判所を利用することができる環境を整えることが、この地域司法の充実ということになります。すべての人が、法の支配の理念の下で裁判制度を簡単に利用できるというコンセプトです。
地域司法の充実は、主として民事事件、その中でも離婚や相続などの家事事件での有用性が叫ばれてきました。家事事件では、感情的な対立、利害の対立が先鋭で解決が困難です。 ここに代理人として弁護士が入ることで初めてよい解決に導くことができます。
皆さんがこのような紛争に巻き込まれた場合、すぐ相談できる弁護士はおりますか。他県のあるところでこの質問をしたら、「司法書士がいるから十分だ。」という答えが返ってきてびっくりしました。相対立する当事者の間に立って解決できるのは裁判所だけです。それに、家事事件について専門知識をもって一方当事者の代理人になれるのは、弁護士だけです。
身近に裁判所があり、弁護士がいること、これが法治国家の基本です。この高齢化の時代、子供や身内に相談しようにも孤立して相談しにくい、となると専門家の弁護士に相談するのが一番です。最後に、山浦善樹先生(元最高裁判事)の講演会での次の言葉を引用して終わります。
「僕はお金を貸すことはできません、金融業者ではないから。売上や事業拡大に専念することもできません、ビジネスマンではないから。薬や手術で病気を治すこともできません、医者ではないから。どんどん出世して偉くなることもできません、役人ではないから。・・・
でも、目の前の依頼者が抱えている問題点を整理して解決策を考え、法律の力で希望を取り戻すための支援はできます・・・弁護士だから。」