年の初めに当たり、せっかくなので夢のある話をしたいと思う。これからの社会を大きく変える可能性のある生成AIの話をさせていただく。
1 AIは、人工知能(Artificial intelligence)のことを言う。
一昨年に、Chat GPTが話題になったが、これもAIの一種である。
GPTとは、Generative Pre-trained Transformer の略であり、日本語では、「生成的事前学習済みトランスフォーマー」と言い、トランスフォーマーの一種ということである。
ここで事前学習済みとは、言語データをあらかじめ読み込んで整えてあること、トランスフォーマーは文章が入力されると適切な文章にする変換器のことである。
2 そして、生成AIは、人間の質問に適切な回答をする、回答は人間の回答と同じく不自然なところがない、回答は信頼できる内容であるということである。
人間と同じく、質問に対して自然に答えてくるが、決定的に違うのは、人間は答えるときに言葉に現れない思い、つまりこういう答えでよいのか、相手はどう思うかといった意識、自分や他人や世界などを意識しながら話をする。しかし、生成AIは、こういった意識を持っていない。質問に対して回答するという、計算メカニズムがあるだけだ。生成AIは、人間の自然な発言を学習し、二次加工して再現するのである。
3 そもそも、人間が話す言葉が創造的で、生成AIが話す言葉は機械的だというのも一面的な見方ではないか。人間は他者との関係を円滑に保つために大体は定型的なありふれた言葉を使っている。「あけましておめでとう」「本年もよろしく」「よいお年をお迎えください」みんな、定型的な表現である。創造的な表現とは言いにくい。もちろん、人間は定型的な言葉ばかり話すわけではないが。
生成AIが言葉を生み出す高度な性能を備えていることは確かのようだ。社会は、人間が言葉を交わすことを前提として成り立っている。
人間にとって生成AIという、言葉を話せる強敵が現れたことによって、社会や教育やビジネスの世界が大きく変わろうとしていることは確かである。