弁護士ブログ/ナイフで人が殺されたときにナイフを作った人が殺人幇助になるのか

2023年3月に公開された『Winny 』という邦画がある。今は、動画配信サービスで視聴できる。

1 Winny は、ピュア型P2P ファイル共有ソフトの一つで、主従がないネットワークの形態で、You Tube が代表例とのことである(詳しいことは私にはわかりません)。

2 このWinny を用いて違法アップロードを行った利用者2 名が著作権法違反で逮捕され、続いてWinny の開発者である金子勇氏が著作権侵害の幇助行為(つまり、手助けをした)という理由で逮捕、起訴されたという事件である。

3 金子氏は栃木県出身、茨城大学工学部出身である。

先日、Winny 事件の弁護団事務局長を務めた檀俊光先生の講演を聞く機会があったので、簡単に本事件を紹介したい。

4 本件の争点は、ズバリ、金子氏がWinny を用いて他人が違法アップロードすることを予測し得たかどうかということであった。

5 第1審の京都地裁では有罪、控訴審の大阪高裁では無罪、平成23年12月21日の最高裁第三小法廷判決は無罪となり、確定した。

6 弁護団は、ソフト開発者が処罰されるということは、いわばナイフで人が殺されたときにナイフを作った人が殺人幇助となるのと同じ理屈であり、理不尽ではないかという理屈で対抗した。

7 ソフト開発者が容易に処罰の対象になるということになれば、日本の技術開発の大きな妨げになるのではないかという意見もある。他方、違法にアップロードされることが予測できる機器を制作するのは処罰されて然るべきとの意見もある。

8 この事件は映画化され、先に述べたとおり動画配信されているので、映画としても楽しんで欲しい。

 


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