支払督促の手続はどのようなものか?
私が貸したお金を借主が返してくれません。内容証明郵便を送っても効果がなさそうです。支払い督促という制度を聞いたことがあるのですが、どういうものですか。
支払督促の手続とは、裁判所から「支払督促」の書類を相手方に送付して貰い、相手方が反論してこなければ、「支払督促」記載の貸金(債権)があるということを正式に認めてもらえる手続のことを言います。
借主である相手方の性格などから、内容証明郵便を送って催促しても無視することが予想される場合で、且つ、お金を借りているということを争わないと予想されるような場合は、支払督促の申し立てが有効に働く場合があります。貸主からの督促は、無視してもそれ自体で不利益な扱いは受けませんが、支払督促は裁判所が出す書類なので、借主からの異議がなければ裁判をせずに強制執行が可能になります。
通常、強制執行により貸金を回収する場合は、裁判を起こして、「借主は借りたお金を払え」という趣旨の判決を得なければなりませんが、そこに至るまでに時間とお金がかかります。借金の存在と内容について、貸主と借主の争いがないケースでは、支払い督促という簡易・迅速な手続きは有効な手続きと言えるでしょう。
支払督促の進め方とは?
支払督促は、相手方の住所地等の簡易裁判所書記官に申し立てを行います。
支払督促の申立てに対し、借主が14日以内に異議を述べなければ、債権者(貸主)の申立てにより、裁判所は支払督促に仮執行宣言を付します。そして、借主がそれから14日以内に異議を述べない場合は、裁判手続きを経ずに、強制執行により貸したお金を回収することができます。
ただし、支払い督促では、借主が異議を述べて反論した場合は、通常の訴訟手続きに移行します。貸主が請求した金額が140万円以下の場合は簡易裁判所に、140万円を超える場合には地方裁判所に訴えが提起されたものとみなされるのです。そのため、もし借主から反論があることが予想できる場合は、最初から訴訟を起こす方が適切といえるでしょう。
どのような事案が支払督促に適するか?
支払い督促は、債務(借金)の存在自体に争いがないケースに適していると言えます。具体的には、借用証もあって、貸した相手も借りたことを認めているけれど、あれこれ理由をつけて返してくれないなどのケースです。
他方で、相手方から、異議が出されると通常訴訟によらなければいけないので、事件後直ちに訴えを提起した場合と比べてかえって余計な時間がかかってしまいます。借主が純粋に争う場面だけでなく、単なる時間稼ぎのため異議を出すこともあるので、相手方の性格や貸金の内容などを考慮しつつ判断すべきでしょう。
高木光春法律事務所のサービス
高木光春法律事務所では、どのようなケースが支払督促をするのに有効かなどのアドバイスから、実際の申立まで幅広く対応しています。また、支払督促を受けている方からも、異議申立てやその後の訴訟対応のご相談、ご依頼をお受けしています。支払い督促でお困りの方は、まずは高木光春法律事務所にご相談ください。
少額訴訟の意味
知人が貸したお金を返してくれません。お金の額は50万円です。返してほしいのですが、回収のためにさほどお金がかけられません。どうしたらいいですか。
民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払を求める訴えを起こす場合に、原則1回の審理で解決を目指す特別な訴訟手続のことを「少額訴訟」と言います。
通常訴訟を起こすと、判決が下されるまで何度も期日を行うため、多くの時間と費用と労力がかかるので、訴額が小さい場合、実際に取り戻したいお金よりも、裁判費用の方が高くついてしまう可能性もあります。
少ない金額を取り返したい場合に、通常裁判よりも少ない負担で裁判所による権利救済をうけることができるという大きな利点があります。
少額訴訟の進め方とは?
少額訴訟が行われる法廷においては、裁判官と当事者が一緒にラウンドテーブル(円卓)に座り、審理が行われます。少額訴訟の途中で、話し合いで解決することも可能です(和解)。
少額訴訟の判決は、分割払いや遅延損害金免除の判決がなされるなど、和解に近い内容になることもあります。少額訴訟での判決や和解調書に基づいて、強制執行を申し立て、相手方の財産から強制的に貸金を回収することも可能です。
但し、少額訴訟は、相手方が応じずに通常訴訟をすることを求めた場合は、通常訴訟に移行することや、少額訴訟の判決に相手方が不満を唱えて異議を申し立てた場合は、再び審理をやり直さなくてはいけないので、余計に時間がかかるというリスクはあります。
なお、少額訴訟は、1回の審理のみで解決を目指すという性質上、証拠書類や証人は、審理当日にその場で調べられるものに限定されます。また、被告(訴えられた方)は、少額訴訟では反訴(訴えられた被告が、訴えた原告に対して、同じ裁判手続きの中で逆の請求をすること)ができません。
どのような事案が少額訴訟に適するか?
少額訴訟は、請求内容が単純で、証拠関係が明らかなようなケースに適していると言えます。被告(訴えられた側)の事情なども汲み取り、支払を猶予したり、分割払いを認めたり、遅延損害金の支払いを免除するなど、被告側が現実に返済できる方法で事案を解決することができます。
他方で、相手方との間で言い分が大きく食い違い、争うことが避けられないような場合は、少額訴訟での解決は不適切と言えるでしょう。
なお、被告側(訴えられた側)は、少額訴訟を提起されても、通常訴訟に移行させる旨の申述をして普通の裁判に持ち込むことができます。
高木光春法律事務所のサービス
高木光春法律事務所では、少額訴訟についてのご相談、ご依頼もお受けしています。依頼者にとって最少の負担で最善の結果につながるよう、最善のサポートをお約束します。
少額訴訟とは、少ない価額を争う場合に一般の訴訟とは異なり手続きが簡略化された制度を設けて、より多くの人々が裁判所を利用できるような制度のことを言います。
- 少額訴訟は60万円以下の金額請求に限って利用できます。(自動車の引渡しや不動産の明け渡しを求めることはできません)
- 少額訴訟では、原則として1日だけの審理をしてその日のうちに判決を下します。(ただ和解が成立しそうであったり、重要な証人がその日に出頭できないなど特別な場合には別の日に審理が行われます)
- 少額訴訟では原則として審理が1日だけなので、提出できる証拠はすぐに調べられるものに限られます。
- 少額訴訟では、トラブルを迅速に解決するという観点から判決に不服があっても控訴することは許されません。
- 少額訴訟を提起した場合、被告が少額訴訟に同意しないで本格的な審理を希望して一般の訴訟に移行するように要求することが認められています。
- 原告の請求を認容する判決が下されても被告の支払いを猶予することがあります。
内容証明郵便とはどういうものですか?
内容証明郵便とは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本(内容文書を謄写した書面で、差出人と差出郵便局で保管するもの)によって、日本郵便株式会社が証明する制度です。内容証明郵便は、通知したこと自体を証拠として残すことに加え、内容証明郵便の受取人である借主に対して「お金を返してもらう」という強い意思を伝えることができます。
内容証明郵便とはどういう場合に使うのですか?
お金を貸した相手には、まずは貸主が電話などで督促するのが一般的ですが、あまり効果的ではないのが実情です。当事者の代わりに、弁護士が電話で交渉することで、借主が支払いに応じることもありますが、なかにはそれでも督促に応じないケースもあります。
そのような場合、内容証明郵便という、日本郵便株式会社が通知を証明する方法で通知を受けた借主は、後日通知をうけていないと言えなくなります。これにより、借主に対して貸主の強い意思を伝えることが可能になります。
また、内容証明郵便は、通知したこと自体を証拠として残しておくことができるので、時効を援用する場合や、クーリングオフ等の解約通知などの場合に用いられることがあります。
お金を返して欲しい場合に内容証明郵便を出すメリットとは?
お金を返してほしい場合に内容正面郵便を出すメリットは2つあります。
1つは、請求したこと自体を証拠として残せるという点です。
貸したお金は、何もせずに放置しておくと、債権の消滅時効にかかって請求できなくなります。消滅時効の完成前に支払を催告することで、時効完成を6か月遅らせることができます。この場合、内容証明郵便で催告することで、後日催告を受けていないという主張ができないように、証拠化しておくことが重要です。
また、もし返済期限を決めずにお金を貸した場合でも、内容証明郵便により、請求したことを証拠化しておくことには意味があります。借主(債務者)は、お金を返すという履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負い、年率5%の遅延損害金を支払わなければならないとされているからです。
もう1つは、内容証明郵便の事実上の効果として、支払い要求の強固な意思を相手に示すという点です。内容証明郵便には、「期限内に支払わなければ法的措置を講じる」と明記するのが一般的です。そのため、裁判で請求するなど、事態が大きくなる前に、相手に心理的圧力をかけて債権を回収できる可能性が高まります。
内容証明郵便を出したが相手が支払ってくれない場合は?
内容証明郵便は、請求したことを証拠として残せるという効果はありますが、その性質は、あくまでも借主が自ら支払って解決することを目的とした働きかけです。そのため、内容証明郵便を出しても、借主に支払いを拒絶されたり請求を無視された場合は、民事訴訟や民事調停の申立て等の法的措置を検討する必要があります。
なお、相手方が故意に内容証明郵便の受け取りを拒否することもあります。弁護士はこのような事態に備えて内容証明郵便を送付するのと同時に同じ内容の文書を普通郵便で送付することもあります。
高木光春法律事務所のサービス
高木光春法律事務所では、依頼者の希望に応じて、弁護士名で内容証明郵便を送るだけというご依頼にも対応しています(その場合、内容証明郵便の作成費用のみを申し受けます)。その後、債権回収をお引き受けする場合は、通常の着手金額から、内容証明郵便の作成費用を差し引いた額にて受任いたします。内容証明郵便による督促をご検討の際は、高木光春法律事務所までお気軽にご相談ください。
お金を返してもらえない場合、どのように回収すればいいですか?
以前、知人に貸したお金を返してほしいと思っています。弁護士さんにお金の回収や金銭トラブルを頼んだ場合、どうやってお金を回収して解決してくれますか。
貸したお金を返してもらう方法は一つではありません。事案に応じて、適切な手段で、適切な手順を踏んで回収する必要があります。弁護士なら、個別の事情を伺い、更に資料の検討を十分に行うことで、最適な回収方法を提案して解決することができます。
どのような方法で金銭の返還を求めるのですか?
貸したお金を返してもらう際には、まずどのようにして回収するかに注意しましょう。話し合いでお金の返還を求めても効果がない場合では、最終的には法的手段に頼らざるを得ないケースもあります。交渉、支払督促、裁判などの様々な方法の中から、状況に応じて適切に使い分けることが重要です。