証拠がなくても慰謝料は請求できますか

慰謝料を請求する場合、原則的には話し合いから始まります。そのため不貞やDVの明確な証拠がなくても相手方の配偶者が不貞やDVに関して自白をすれば慰謝料を受け取ることはできます。しかし相手方も素直に自白するとは考えにくいので現実的に慰謝料を受け取ることは難しいかもしれません。
相手方が行為に対して否定した場合、訴訟などでは証拠によって証明しなければその事実が存在したことにはなりません。いくら事実を突き付けても、それを裏付ける証拠がなければ、裁判のうえではそのような事実はなかったものとして扱われてしまうのです。そのため、弁護士に依頼して慰謝料を請求する場合は、相手方が事実を否認することを想定して証拠を固める必要があります。

そもそも不貞やDVの証拠とは、メールのやり取りや通話履歴では不十分です。メールの内容や通話履歴では、相手方に「これは遊びでした」などと言われては反論が難しいからです。そのため確実な証拠をつかむ必要があります。確実な証拠と認められているのは、性行為をしたときの写真や動画・ホテルなどに出入りする写真・DVを受けたときの診断書・肉体的・精神的な暴力を受けた日時や場所など具体的な様子のメモなどがあたります。
ただし弁護士に依頼してその他の証拠と合わせてメールや通話履歴を突き出せば相手方の不貞行為などを立証することができますので確実な証拠がなくても慰謝料を受け取ることができます。

DVを受けていた場合の慰謝料はどのくらいですか

DVによる離婚の場合、DVによる身体的な暴力に限らず言葉による精神的な暴力に対する慰謝料と、離婚自体による精神的苦痛に対する慰謝料とを請求することができます。

DVを受けていた場合、その行為の回数・行為の期間・暴力を受けた側に特に落ち度がないのに行為が開始されたかどうか・DV によるケガや障害の後遺症の程度など様々な事情を考慮してケースバイケースで慰謝料の額を算定します。その額は50万円~300万円程度といわれています。

また暴力をふるわれてケガをした時の診断書や肉体的・精神的な暴力を受けた日時や場所など具体的な様子のメモがあるとDVを証明する重要な証拠となります。 弁護士が介入し慰謝料を請求する場合、協議離婚申入書の中に慰謝料請求の記載を併せて行い、内容証明郵便で送付することが多いですが、その請求に応じなければ離婚調停を申し立て、その中で財産分与や養育費・親権問題・慰謝料の支払いを求めていくことになります。

不貞行為の慰謝料はどのくらいですか

日本では協議離婚が全体の離婚件数の約90%を占めており、その協議離婚において慰謝料や財産分与がどのように取り決められたか、あるいは全く取り決められなかったかは、プライバシーに関することなので詳しい金額はわかりません。
厚生労働省の調査では、協議離婚・調停離婚・裁判離婚を全てひっくるめていますが、慰謝料・財産分与の支払い金額の平均は380万円前後となっています。(ただし財産分与も含めての金額)
慰謝料額の算定方法としては、不貞行為の期間や頻度・婚姻期間子の有無や不貞行為当事者の有責性の程度、夫婦が離婚に至ったか否かなどの客観的資料を考慮して、事案に応じて個別具体的に判断して決定することになります。

婚慰謝料はどのくらいとれますか

離婚というと「慰謝料」がつきもの、と思っている人は多いようですが、慰謝料はそのようなケースの離婚でも請求できるものではありません。
離婚の慰謝料は、相手の行為によって受けた精神的苦痛に対する「損害賠償金」のことをいいます。つまり、相手の暴力や不貞といった不法行為によって結婚生活が破綻し、離婚せざる得なくなった場合、それによる精神的苦痛に対して相手が請求できます。
例えば離婚の理由が「性格が合わない」とか責任がどちらにあるともいえないといった場合には、慰謝料は請求できません。
慰謝料の金額や支払い方法に決まりはありません。金額は精神的苦痛の度合いや相手の資産、収入などに応じて、夫婦で話し合って決めます。離婚後にも請求できますが、慰謝料には時効があり、請求できるのは離婚成立後3年以内です。
慰謝料の金額に基準や目安はないので、離婚の原因や相手から受けた精神的苦痛はなど下記の要素を考慮して決定します。

  • 相手の違法行為の内容と責任度合い
  • 相手の違法行為で受けた精神的苦痛の程度
  • 婚姻期間
  • 子どもの有無
  • 当事者の年齢
  • 当事者の社会的な地位や経済状況(収入・資産)

協議離婚では相手への請求額は自由に決められますが、高額な慰謝料を請求しても相手にそれだけの経済力がなければ支払ってもらえません。どのくらいの額が妥当なのか、弁護士に相談したほうがよいでしょう。
離婚調停では調停委員のアドバイスのもとに双方の合意で金額などを決めます。協議や調停によって離婚の話し合いがつかず裁判に進んだ場合は、裁判官の判断によって金額が決定されます。その場合はケースバイケースですが、一般的には、100万円~300万円が多いようです。
離婚の約90%を占める協議離婚については慰謝料がどれくらい支払われているかデータはありません。

離婚の手続きは弁護士に頼んだ方が良いのですか

離婚の際、必ず弁護士に依頼する必要があるわけではありませんが、弁護士に依頼したほうがスムーズに解決する場合もあります。
財産の分与や子どもの親権・養育費の問題、相手が離婚に応じないなど、当事者同士での話し合いがつかない場合や、自分が希望していることが法的に認められるかどうか知りたい場合には、弁護士に法律相談して、解決方法や裁判手続とその流れ、裁判にかかる費用等について、アドバイスを受けた方がよいでしょう。
また、離婚訴訟(裁判)に進んだ場合、本人訴訟といって自分で訴状を書き、手続きを進めることもできますが、勝訴を勝ち取るためには専門的な知識や法廷闘争のテクニックも必要になりますので、訴状の段階から弁護士に依頼したほうがいいでしょう。
気になるのは料金についてですが、弁護士の費用はそれぞれの弁護士により、自由に決められるようになっています。弁護士に依頼する場合は、その弁護士事務所の規定についての説明を受けて、見積もりを出してもらいましょう。

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