遺産分割調停でも話がまとまらない場合、どのようになりますか。
遺産分割調停でも話し合いがまとまらない場合、「審判」手続きに移行します。
審判では、裁判所が最終的な判断を行います。
審判とは
遺産分割調停で話し合いがつかない場合は、「審判」手続きに移行します。
審判とは、当事者が提出した資料や、事実調査の結果に基づいて、裁判所が強制力を持った最終的な判断をする裁判手続きのことをいいます。
審判に移行した場合のメリット・デメリットとは
審判では、裁判官の判断で強制的に遺産が分割されるため、問題が積み残しにならずに済みます。しかし、審判では、以下のような点に注意が必要です。
不動産の取得者は審判では決まりません
遺産である不動産の取得を巡る相続人の争いで、協議や調停でも話し合いがまとまらなかった場合、裁判所は「その不動産を競売して代金を分けよ」という審判を下します。
しかし、不動産の売却を望まない相続人も多いでしょう。相続人当事者の意に反する結論を避けるために、調停で話し合いによる解決を目指すべきです。
審判では預貯金の分割が困難です
預貯金は、相続の発生時点(故人が死亡した時点)に、法定相続分の割合で当然に相続人に分割されると考えられています(分割債権)。そのため、相続人全員の合意がない限り遺産分割の対象とはなりません。
但し、実務では、相続人による法定相続分に基づく個別の払戻請求を認めていないことに注意が必要です。そのため、相続人の誰かが、被相続人名義の預貯金を遺産に含めることに反対すると、預貯金を誰が取得するかという問題が解決できず、いつまでも預貯金を引き出せない状態に陥る可能性があります。
株式の取得について、審判では適切な分割ができないおそれがあります
会社経営の被相続人の遺産に、その自社株があるという場合には、事業承継の問題が生じます。
生前営んできた事業を、長男等の後継者に承継させたい場合、自社株を全て後継者が承継しなければ会社経営が不安定になる恐れがあります。しかし、自社株の評価が高額な場合など、相続人間で不公平感が広がり合意が得られず、株式が複数の相続人に分散するという不都合な結果を招きかねません。
この場合にも、調停により、代償分割等柔軟な解決を図ることをお勧めします。
高木光春法律事務所のサービス
遺産分割は、「遺産分割協議」、「調停による分割」、「審判による分割」などの手続きのうち、最も適切な手段を選択することです。
高木光春法律事務所では、遺産分割に関する豊富な実績があります。遺産分割でお困りの方は高木光春法律事務所にご相談ください。
遺産分割調停はどのように進められるのですか?
調停とは、裁判とは異なる、調停委員という第三者を介して行う「話し合い」のことをいいます。
調停委員(一人の裁判官と民間から選任される二人以上の調停委員で構成されます)が、相続人や関係者から言い分を聞いて、事情を調べ、話し合いにより適切な解決を図るように助言等を行う制度です。
「調停」の実際の行われ方とは
相続人同士で遺産分割協議の話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に家事調停の申し立てを行います。
調停とは、前述のように、裁判とは異なる「話し合い」の制度です。
調停は、争っている当事者双方が、冷静な話し合いができるように、様々な工夫が行われています。
具体的には、調停室に入るのも当事者双方が別々に入りますし、調停委員(通常は男女のペアの2名です)にそれぞれの言い分を伝えます。
相手と顔を合わせることなく、調停委員が別途調整を行うので、冷静に話を進めることができます。
調停室は、比較的狭い部屋に、6名程度が座れるテーブルと椅子が置かれています。当事者が交互に調停室に呼ばれ、1回30分程度ずつ話を聞かれるという流れが繰り返されます。相手が調停室に呼ばれている時は、調停委員が呼びにくるまで待合室で待機します。
調停委員に話しをする際に、緊張して思うように話せないのではないかと不安に思う方もいるかもしれません。調停委員は、話し合いの調整のプロなので、親切・丁寧に話を聞き、冷静に話し合いを進めてくれるので安心です。ご自分の考えや気持ちを率直に話すことが、問題の解決に繋がります。
遺産分割調停の流れとは
遺産分割調停の流れの概要は、以下のようになっています。
①相続人の確定
遺産分割をする前提として、誰が相続するかを明らかにしなければなりません。事実と異なる戸籍が残っている等、相続人の範囲に問題がある場合には、人事訴訟等の手続きが必要です。また、相続人の中に判断能力に問題がある方(認知症など)がいる場合には、成年後見等の手続きを行います。
②遺産の範囲の確定
遺産分割をするためには、被相続人のどのような財産が遺産分割の対象になるかを明らかにしなければなりません。
遺産分割の対象になるのは、原則として、被相続人が死亡時に所有し、現在も残っている財産です。
但し、遺言書が残されていて譲る相手が決まっている財産や、遺産分割協議書で分割方法が決まっている財産は、遺産分割の対象にはなりません。相続人の誰かが遺産を隠したり、使った場合は、別途請求など他の手続きが必要です。
③遺産の評価
遺産分割の対象となる財産のうち、不動産等については評価額を確認し、合意できない場合は鑑定を実施します。
株式については、上場株式の場合は、取引相場をもとに、分割時の特定の日、又は一定期間の平均価格で算定します。なお、税務上は取引所における時価として、相続日、相続の月、前々月のうちの最低価格をとります。非上場株式の場合は、様々な評価方法がありますが、中小企業の非上場株式の場合は純資産価額方式によることが多いです。相続人間で評価が定まらない場合には、専門家に鑑定を依頼して評価します。
④各相続人の取得分の確定
遺産の範囲・評価の確認を行うと、各相続人の取得額が法定相続分に基づいて決定されます。特別受益や寄与分が認められる相続人がいる場合は、それらを考慮して各相続人の取得額を修正が加わります。
⑤遺産の分割方法の確定
各相続人の取得額が決まると、それに見合うように遺産の分割方法を決定します。分割方法には、遺産そのものを分ける「現物分割」、そのもの自体を分けて差額を金銭で調整する「代償分割」、その遺産を売却して金銭を分配する「換価分割」などの方法があります。
調停で話し合いがつかない場合の方法とは
遺産分割調停で話し合いがつかない場合は、「審判」という手続きに移行します。
審判とは、当事者が提出した資料や事実の調査結果に基づいて、裁判所が最終的な判断をする、裁判上の手続きのことをいいます。
高木光春法律事務所のサービス
遺産分割調停は、当事者だけでも行うことができます。しかし、法律的な検討事項も多く、調停申立書の作成や添付書類の収集など、当事者で行うには困難な場合も否定できません。
高木光春法律事務所では、事務作業や裁判所での手続だけではなく、依頼者の要望に沿った交渉を行い、最も望ましい解決に向けて万全のサポートをお約束します。遺産分割調停でお困りの方は、高木光春法律事務所にご相談ください。
先日、父が亡くなりました。今後、遺産分割の話し合いで、感情的な対立からもめそうです。弁護士を立てたほうがいいですか。
遺産分割協議では、普段顔を合わせない兄弟など相続人が一堂に集うこと、各人の利害関係が絡むことから、予想外の紛争に発展することが少なくありません。
相続人の範囲や遺産内容が不明確な場合や、遺産分割の方法や相続分について合意が困難な場合などは、弁護士を立てた方が円満・適切に遺産分割を実現できる場合があります。
弁護士に依頼する目的とは
遺産分割は、相続人・相続財産の調査から、分割方法の協議、遺産分割協議書の作成までの過程を経て実現されます。
相続人の利害が対立するうちに、円満だったはずの親族関係が徐々に悪化することも残念ながら否定できません。
弁護士が遺産分割の依頼を受ければ、後日の、蒸し返しやトラブルを防ぐため、相続人、相続財産、被相続人の財産や負債状況を詳しく調べ、相手の言い分の不当性、法的不備などを指摘して、双方の調整を図ることができます。
遺産分割協議は、長引けば長引くほど、親族関係の不和につながりやすいものです。遺産に利害関係がなく、且つ法律の専門家である弁護士が入ることにより、より迅速に事案を処理することが可能です。
高木光春法律事務所のサービス
分割方法などの具体的なご希望はもちろん、相手との関係にも配慮した交渉を行います。「弁護士を立てる=闘争」ではありません。遺産分割でお悩みの際は、ぜひ高木光春法律事務所にご相談ください。
相続人同士の言い分が異なり、遺産分割協議がまとまりません。どのようにして遺産分割をまとめたらいいですか。
遺産分割には、遺言による分割、協議による分割、調停による分割、審判による分割の4つの方法があります。相続人同士で遺産分割協議がまとまらない場合は、裁判所の制度を利用することで円滑な解決が図られる場合があります。
遺言による遺産分割
遺言がある場合には、遺産分割は原則として遺言の内容に従って分割します。これを指定分割といいます
遺産分割協議をするための準備とは
遺言がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分けを行います。
遺産分割協議は、必ず相続人全員で行う必要があり、一部の相続人を除いて行われた遺産分割協議は無効です。また、相続財産の内容に漏れがあると、再度、話し合いをもたなければならなくなります。 そのため、遺産分割協議を行う前提として、「相続人調査」と、「相続財産の調査」を行う必要があります。
協議による遺産分割とは
遺言がない場合は、相続人同士で話し合いを行い、遺産分割をします。相続をする者全員で協議することを「遺産分割協議」といいます。
遺産分割協議は、四十九日法要などで集まった際などに行われるのが一般的です。このとき、残念ながら相続人同士の利害関係が対立し、相続人同士の紛争に進展することも少なくありません。
遺産分割調停とは
相続人間で遺産分割協議は難航する場合は、家庭裁判所での遺産分割調停の手続きを活用することをお勧めします。調停は、相手方の住所地を管轄とする家庭裁判所に申し立てをし、相続人全員を相手方として行います。調停手続きは、家事審判官、調停委員らが双方の意見を聞きつつ行います。双方が合意すれば調停が成立し、調停調書が作成されます。調停調書で相続人全員が合意した事項は、確定判決と同一の効力を有します。
遺産分割審判とは
調停が不成立に終わった場合で裁判所による解決を望む場合には、家庭裁判所に審判の申立を行います。審判では、家事審判官が法律と運用に基づいて判断を下します。
高木光春法律事務所のサービス
相続人・相続財産、被相続人の負債状況などについて調査し、遺産分割にあたっては、協議・調停・審判を通じて、全ての手続き・交渉を代理いたします。
遺産分割では、いたずらに対立関係をあおっても、当事者にとって利益になりません。相手方の利益を含めた大局的な見地で着地点を見極め、より適切な手段選択で協議を行い、早期解決を実現したいと考えています。
先日、父が亡くなりました。父の相続財産はどのようにして調べたらいいですか。
相続財産は、できる限り明らかにしなければなりません。
預貯金の場合は、通帳に加え、被相続人宛に来た郵便物、取引先金融機関の担当者の名刺も手掛かりになります。被相続人が死亡し、自身が相続人であることがわかる資料(戸籍謄本、除籍謄本、身分証明書等)を金融機関に持参すれば、被相続人名義の口座の有無、残高を知ることができます。
不動産については、固定資産税の名寄帳や、法務局備付けの登記事項証明書等を調査して行います。
金融機関に対する調査の仕方
被相続人の預金口座の残高を把握している相続人は多くはないでしょう。
通帳や金融機関からの郵便物を紛失している場合、不仲な相続人が通帳等を保有していて調査協力が得られない場合もあり得ます。
そのような場合は、各金融機関に出向いて、被相続人が死亡したことと自身が相続人であることが分かる資料(戸籍謄本、除籍謄本、身分証明書等)を持参して、被相続人名義の口座の有無や残高を調べてもらいます。
今日では、金融機関の各店舗で他支店の口座状況を調べることも可能です。まずは、最寄りの取引銀行支店に相談されることをお勧めします。
不動産に対する調査の仕方
不動産については、被相続人の自宅のみならず、その他の不動産の状況も調査する必要があります。固定資産税の納付書等の資料を参考に、登記事項証明書を調査する場合もあります。土地が何筆かに分かれている場合であっても、役場で名寄帳を取り寄せることにより、被相続人名義の土地を把握できます。
債務の調査の仕方
債務などのマイナスの財産も相続の対象になるので、債務の調査もおろそかにできません。プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合は、相続放棄を検討する必要があり、仮に債務超過でない場合でも、遺産分割の際に債務の負担を考慮しなければなりません。
被相続人の自宅に資料がない場合には、信用情報機関から情報を取り寄せる方法も考えられます。
高木光春法律事務所のサービス
高木光春法律事務所では、被相続人の財産や負債状況の調査についてもご依頼をお受けしております。上記以外にも、財産の内容にしたがって調査方法がありますので、被相続人の財産の全容が分からずお困りの場合は、まずは高木光春法律事務所にご相談ください。