先日、家族が交通事故に遭って亡くなりました。どのような損害賠償が請求できるか教えてください。
死亡事故の場合、積極損害、消極損害、精神的苦痛に対する損害賠償請求(慰謝料請求)を行います。
積極損害
積極損害とは、交通事故に遭ったために被害者が支出を余儀なくされた費用のことをいいます。具体的には、治療費、付添看護費、通院付添費、通院交通費・宿泊費、葬儀費用、弁護士費用、損害賠償請求関係費などが挙げられます。
消極損害
消極損害とは、交通事故に遭わなければ、被害者が得られたであろう利益を失ったことによる損害のことをいいます。死亡事故の場合、死亡逸失利益(被害者が将来にわたって得られるはずであった利益を失ったことによる損害)がこれにあたります。死亡逸失利益の算定方法は以下のようになります。
【死亡逸失利益】
=【基礎収入額】×【1-生活費控除率】×【中間利息控除係数】
中間利息控除係数とは、交通事故の損害賠償では、当事者の紛争はできるだけ早く解決するのが望ましいこと、被害についてできるだけ早く損害を回復すべきであること、被害者側に加害者の支払能力の変化による不利益を負わせるべきでないことから、将来にわたって得られるはずだった利益を一時金として支給するための概念です。現在の実務ではライプニッツ方式を採るのが主流となっており、就労可能年数に対応するライプニッツ係数を求めた上、これを生活費控除後の収入額に乗じる方法で行います。ライプニッツ係数を求めるのに必要となる被害者の就労可能年数は、遅延損害金が発生する事故時をもって起算点とするのが実務の運用なので、事故時の年齢を67歳から差し引いて就労可能年数を求めます。
なお、事故時に満18歳未満の未就労者の場合、逸失利益の算定方法は以下のようになります。
【逸失利益】
=【学歴計の男女別あるいは全労働者平均賃金】×【1-生活費控除率】×【67歳までのライプニッツ係数-18歳までのライプニッツ係数)
但し、逸失利益からは、存命ならば本来支出するはずだった費用の支出を免れることになるため、適正な損害額を算出する目的で、生活費に相当する割合が「生活費控除」として控除されます。実務上は、生活費控除は以下のような基準で算出されます。
一家の支柱
(被害者が属する家庭の生計を維持すべき収入の大部分を得ている者で、その者が欠けることで当該家庭の生活が著しく困難になる者) |
被扶養者1人の場合 |
40% |
被扶養者2人以上の場合 |
30% |
女性(主婦・独身・幼児を含む) |
30% |
男性(独身・幼児を含む) |
50% |
死亡慰謝料
死亡慰謝料とは交通事故の被害者が死亡した場合に、死亡させられたことに対する慰謝料のことをいいます。被害者の方の遺族にも独自の慰謝料請求権が認められます。
死亡慰謝料についても、後遺症慰謝料の場合と同様に、自賠責保険・任意保険・裁判所ごとに支払基準が設定されています。具体的には以下のように紹介されています。
(財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編集・発行損害賠償額算定基準:いわゆる「赤い本」)
一家の支柱
(被害者が属する家庭の生計を維持すべき収入の大部分を得ている者で、その者が欠けることで当該家庭の生活が著しく困難になる者) |
2800万円 |
母親、配偶者 |
2400万円 |
その他 |
2000万円~2200万円 |
(財団法人日弁連交通事故相談センター専門委員会交通事故損害額算定基準:いわゆる「青本」)
一家の支柱の場合
(被害者が属する家庭の生計を維持すべき収入の大部分を得ている者で、その者が欠けることで当該家庭の生活が著しく困難になる者) |
2700万円~3100万円 |
一家の支柱に準ずる場合 |
2400万円~2700万円 |
その他の場合 |
2000万円~2400万円 |
実際は、上記のような数値を目安に、裁判所が個々の事情を総合的に考慮して判断します。具体的には、飲酒運転やひき逃げ等、事故態様や事故後の行動が悪質な場合などには、基準額を上回る慰謝料が認定されることもあります。
高木光春法律事務所のサービス
死亡事故の場合、賠償額の算定は種々の手続きが必要になることから、ただでも辛い状況にある遺族の方が自ら行うのは困難です。高木光春法律事務所では、依頼者の具体的な事情やケースに応じて適正な賠償額を算出し、被害者遺族の代理人として加害者ないしその保険会社との交渉や、法的手続きにあたります。まずは高木光春法律事務所までご相談ください。
先日交通事故に遭いました。後遺症は残りませんでしたが、会社を休まざるをえなかったり、事故の恐怖心が消えません。加害者側にどのような請求ができますか。
交通事故でけがを負うなどした場合、積極損害、消極損害、精神的苦痛に対する損害賠償請求(慰謝料請求)を行います。
積極損害
積極損害とは、交通事故に遭ったために被害者が支出を余儀なくされた費用のことをいいます。具体的には、治療費、付添看護費、通院付添費、将来介護費、通院交通費・宿泊費、家屋・自動車等改造費、装具費、弁護士費用、損害賠償請求関係費などが挙げられます。
消極損害
消極損害とは、交通事故に遭わなければ、被害者が得られたであろう利益を失ったことによる損害のことをいいます。傷害事故の場合、休業損害がこれにあたります。
慰謝料
慰謝料とは、生命、身体や財産権等の権利を侵害された場合に、被害者が被った精神的苦痛に対する賠償のことを言います。交通事故の場合、死亡や傷害等、人について生じた損害(「人損」)についてのみ慰謝料請求が認められるのが原則です。慰謝料の額は、入院や通院期間を基礎として算出されます。
高木光春法律事務所のサービス
賠償額については、実務上一定の基準が設けられていますが、算定には法的知識や煩雑な作業を伴うため、ご自身で賠償額を算定するのは困難です。高木光春法律事務所では、依頼者の個別の事案に対応した賠償額を算定し、加害者や保険会社との今後の交渉や、法的手続きを万全の態勢でサポート・代行します。
「症状固定」とはなんですか。「症状固定に至った。」と言われたら、これからどうしたらいいのでしょうか。
交通事故でケガなどを負い、治療して回復し完治するのが最善ですが、残念ながらこれ以上治療を続けても痛みがそれほど変わらないなど、さしたる効果が得られなくなる場合があります。このような状態を「症状固定」といいます。症状固定に至る前は、治療費や休業損害、入通院慰謝料などが請求できますが、症状固定に至ると、この段階より後に発生する治療費は請求できなくなります。もし症状固定の段階で障害が残った場合には、後遺障害に対する賠償の問題として、逸失利益や、後遺障害慰謝料の請求が問題になります。
実務上、保険会社から治療費の打ち切りを告げられる場合もありますが、治療費の打ち切りが症状固定とイコールの関係になるわけではありません。症状固定は医師が行うもので、被害者の問診なども踏まえたうえで決定されます。治療費の打ち切りは保険会社の主張にすぎないので、これに従う必要はありません。
交通事故で後遺症が残った場合、どのような賠償の請求ができますか?
症状固定後に交通事故の症状が残った場合、このような障害について後遺障害の等級認定を受け、賠償金を求めていくことになります。
後遺障害に関する賠償金は、積極損害、消極損害、後遺症慰謝料の3つがあります。
「後遺症慰謝料」とは、後遺症をもたらす傷害を受けたという精神的肉体的苦痛に対する賠償のことです。
大きく分けて、積極損害、消極損害、後遺症慰謝料の3種類です。
積極損害
積極損害とは、交通事故に遭ったために被害者が支出を余儀なくされた費用のことをいいます。具体的には、治療費、付添看護費、通院付添費、将来介護費、通院交通費・宿泊費、家屋・自動車等改造費、装具費、弁護士費用、損害賠償請求関係費などが挙げられます。
消極損害
消極損害とは、交通事故に遭わなければ、被害者が得られたであろう利益を失ったことによる損害のことをいいます。後遺障害事故の場合、症状固定前は休業損害、症状固定後は後遺症逸失利益(後遺症によって事故以前のように働くことができなくなったことによる収入減少)にあたります。
後遺症逸失利益の算定には、「労働能力喪失」「ライプニッツ係数」という概念が問題になります。後遺症逸失利益の算定方法は以下のようになります。
【後遺障害逸失利益】
=【基礎収入】×【労働能力喪失率】×【労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数】
なお、症状固定時に18歳未満の未就労者の場合は以下のようになります。
【後遺障害逸失利益】
=【基礎収入】×【労働能力喪失率】×【67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数】
後遺症慰謝料
目安は、次の表のとおりです。
(財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編集・発行損害賠償額選定表基準(いわゆる「赤い本」)
第1級 |
2800万円 |
第2級 |
2370万円 |
第3級 |
1990万円 |
第4級 |
1670万円 |
第5級 |
1400万円 |
第6級 |
1180万円 |
第7級 |
1000万円 |
第8級 |
830万円 |
第9級 |
690万円 |
第10級 |
550万円 |
第11級 |
420万円 |
第12級 |
290万円 |
第13級 |
180万円 |
第14級 |
110万円 |
交通事故に遭った本人に重度の後遺障害が残った場合には、近親者にも別途慰謝料請求権が認められる場合があります。また、自賠責14級に至らない後遺障害があった場合でも、それに応じた後遺障害慰謝料が認められるケースもあります。
高木光春法律事務所のサービス
交通事故における賠償額の算定は、被害の状況や年齢、就業状況によっても異なり、被害者側本人で把握するのは非常に難しいのが現状です。分からないままにしておくと、受け取れるべき保証を受け取ることができない等の不利益を被る恐れもあります。高木光春法律事務所では、依頼者の方の事案に応じて適正な賠償額を算出し、被害者の代理人として交渉や、法的手続きを行います。
先日、交通事故に遭いました。今は、通院しながら治療を続けています。これから、解決までにどのような流れをたどりますか。
交通事故の被害に遭われた場合、まずは治療に専念されることが第一です。
交通事故で負った傷害が完治するか、または現状以上の回復・改善が見込まれない場合(症状固定)は、加害者が加入する保険会社から示談が提示されることになります。
もし、その金額に納得できない場合は、調停か裁判により争うことになります。
解決までの流れとは?
交通事故故の発生から事件が解決するまでは、概ね以下のような流れになります。
事故発生
↓ |
治療(入院・通院)
↓ |
症状固定(症状の安定)
↓ |
後遺障害の認定
↓ |
示談交渉
↓ |
ADR・調停・裁判
↓ |
解決 |
高木光春法律事務所のサービス
交通事故事件を解決する際には、様々な悩みを持たれる方が多いのが実情です。保険会社の対応が不満だったり、賠償額や後遺障害の認定に納得ができないケースなど、お悩みの範囲は多岐にわたります。高木光春法律事務所では、交通事故でお悩みの方のお話を詳しく伺い、個々の問題点を一つづつ解決するようサポートしています。交通事故のことでお困りの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。
交通事故を起こした場合、加害者側の方は、「行政上の責任」「民事上の責任」「刑事上の責任」という3種類の責任を負います。
これらは別個独立の責任であり、それぞれ同時並行で手続きが進行します。
行政上の責任
行政上の責任とは、道路交通法に基づいて行われる行政処分のことをいいます。具体的には、免許の停止・取消、反則金の支払いなどが含まれます。反則金は刑事上の処分ではなく、行政上の処分ですので、刑罰ではありません(罰金とは異なります)。そのため、反則金を支払うことになっても前科がつくわけではありません。
民事上の責任
交通事故によって、他人に損害を生じさせた場合、損損害について賠償する必要があります。損害は、人身損害(人損:財産的損害と精神的損害)と物的損害(物損:積極損害と消極損害)に分けられます。
刑事上の責任
交通事故によって、人を死傷させてしまった場合、刑法や道路交通法に基づいて刑罰が科されることになります。具体的には、以下のように法律で定められています。
刑法第211条2項(自動車運転過失致死傷罪)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
刑法第208条の2(危険運転致死傷罪)
第1項
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。
第2項
人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。
高木光春法律事務所のサービス
高木光春法律事務所では、交通事故の加害者側の立場になってしまった方のサポートも行っています。ご本人あるいはご家族が交通事故を起こしてしまってお困りの方は、まずは高木光春法律事務にご連絡ください。