過失割合とか過失相殺というのはどういう意味ですか?

先日、交通事故に遭いました。過失相殺とはどういうことですか。

過失相殺とは、交通事故の発生に関して被害者側にも責任が認められる場合に、その責任(過失)の割合に応じて損害賠償額が減額されることをいいます。
過失割合については、裁判所、弁護士、保険会社のいずれも「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(判例タイムズ社)に従って決められています。具体的には、あり得る交通事故の類型として挙げられた273件の類型(同書4版、類型内容は変更されます)のうち、事故がどの類型に近いかを調べ、該当する事故類型に応じて定められた過失割合の基準を用いることになります。

賠償額の調整とは?

交通事故により損害が生じても、被害者側にも過失があるという場合、いわゆる過失相殺によって賠償額が減額されることになります。

過失相殺って?

過失相殺とは、当事者の公平の見地から、被害者に事故の発生や損害拡大に落ち度がある場合に、損害賠償額を減額する制度のことをいいます。民法722条2項は、「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定しています。
過失相殺をする際は、それぞれの損害の費目を合計して損害額の合計を算出し、損害額の合計から過失相殺して、最終的な賠償額を算出するのが一般的です。
過失相殺をする際の過失割合については、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(判例タイムズ社)に定められた詳細な運用基準に基づいて算定されますが、事故がどの類型の事故に該当し、どのように修正がされるのかの判断には、専門知識が不可欠です。保険会社から提示された過失割合に納得できない場合は、弁護士に相談されることをお勧めします。

高木光春法律事務所のサービス

高木光春法律事務所では、交通事故の過失割合のお悩みに対応しています。依頼者の個別の事情に応じて、適正な過失割合を検証しサポートします。保険会社から提示された過失割合に納得がいかないなど、過失相殺でお困りの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

交通事故による損害賠償請求はいつまでできますか?

数年前に交通事故に遭いました。相手方の保険会社が提示した賠償額に納得できず、そのままにしていました。損害賠償は、いつまで請求できますか。

交通事故で損害を被った場合、「不法行為に基づく損害賠償請求権」を行使することになります、この請求権は、損害つまり事故によって被った損害及び加害者つまり事故の相手方を知った時から3年で消滅時効にかかるので注意が必要です。
また、自賠責保険に関する被害者請求権については、以下のように消滅時効にかかります。

平成22年3月31日以前に発生した交通事故

  • 死亡による損害:事故日から2年
  • 傷害による損害:事故日から2年
  • 後遺障害による損害:症状固定日から2年

平成22年4月1日以降に発生した交通事故

  • 死亡による損害:事故日から3年
  • 傷害による損害:事故日から3年
  • 後遺障害による損害:症状固定日から3年

消滅時効とはどういうもので、いつ時効が完成しますか?

交通事故の損害賠償について、相手方保険会社の提案する条件に納得できない、後遺症の認定等級に納得できないなどの理由から、示談を先延ばしにする事案があります。しかし、示談交渉が中断して3年以上が経過すると、請求権が時効にかかり、請求できなくなる恐れがあります。
この点、法律では、「損害及び加害者を知った時から3年」と規定されていますが、ひき逃げなどで犯人が特定できないなど特殊な事例でない限り、事故から3年と考えておく方がよいでしょう。
なお、後遺障害については、後遺障害の症状が固定してから消滅時効が進行します。

被害者請求権はいつ時効にかかるか?

交通事故の被害者が、加害者に賠償金を請求しても、加害者に財産がなければ実際には被害者は賠償金を受け取れない恐れがあります。法律では、被害者を保護する目的で、自動車を運転する人に対して自賠責保険に加入することを強制しています。自賠責保険に加入しないまま自動車を運転すると行政罰と刑事罰の対象になります。
被害者は、加害者の加入している自賠責保険会社に対し、直接、損害賠償額を請求することができます。この権利についても、基本的に事故発生日から3年(平成22年3月31日以前の事故については2年)で時効にかかりますので、注意が必要です。
なお、自賠責保険は、賠償金の上限額が定められていること、対象は人身損害に限られ、加害者が他人に与えた損害に限られること、被害者に過失があっても減額されないこと(被害者に重大な過失があった場合を除く)、示談代行サービスは行われないといった特徴があります。

高木光春法律事務所のサービス

交通事故の発生から長期間経過した場合、確実な交渉、手続きを行うことが重要です。高木光春法律事務所では、消滅時効が迫っている事件は、最優先で取り組み依頼者の利益に資するように万全の態勢でサポートします。損害賠償請求でお困りの際は、まずは高木光春法律事務所にご相談ください。

事故の加害者以外にも損害賠償を請求できる場合がありますか?

先日、交通事故に遭いました。加害者側はタクシーの運転手でした。この場合、加害者本人にしか損害賠償を請求できないのでしょうか。

交通事故の加害者以外にも、損害賠償を請求できる場合があります。具体的には、車の所有者、労務中の事故の場合の加害者の勤務先社長や雇用主、相手方が未成年である場合の加害者の両親、加害者以外にも交通事故の原因となる行為をした人、道路の管理に問題があった場合の国や地方公共団体等運転手の使用者や運行供用者などです。

使用者責任というのはどういうものか?

「使用者責任」とは、事業のために他人を使用する者が、事業を行う際に被用者が損害を第三者に与えた場合に、使用者が負う責任のことをいいます。民法715条1項本文では、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」と定められています。具体的には、従業員が会社の仕事で自動車運転をしている際、事故により他人に損害を与えた場合、会社は、その従業員と連帯して、その損害について賠償する責任を負うことになります。なお、典型例としては、業務時間中に社用で運転がされていた場合がありますが、判断が難しい場合もありますので、弁護士にお尋ねください。

運行供用者責任というのはどういうものか?

運行供用者とは、加害者側の自動車について運行を支配し、運行利益を得ている者のことをいうと考えられています。つまり、加害自動車の運行をコントロールできる立場にあり、その自動車を運行させることによって利益を得ている人のことを意味します。自動車損害賠償保障法3条本文では、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。」と定められています。
これにより、自動車の運行供用者は、①自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、②被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと、③自動車の構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと、の3点を立証しない限り、損害賠償責任を負います。

交通事故に限らず、一般的に損害賠償を請求する場合には、被害者側が加害者に過失があったことなどを立証しなければなりませんが、実際には過失を争うのは容易ではありません。そこで、運行供用者責任の場合には、被害者側で加害者に過失があったことを立証する必要がないものとされています。

高木光春法律事務所のサービス

交通事故の直接的な加害者である運転手に資力がなく、損害賠償請求が実質上できない場合は少なくありません。このような場合に、責任追及の幅を広げることで、被害回復を図ることができる場合があります。交通事故の補償問題等でお悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

物損事故に遭った。どのような損害が請求できますか?

先日、交通事故に遭い車を壊されました。加害者側の保険会社に連絡し、修理費用を請求したところ、修理費が車両時価より高いため車両時価相当額しか払えないと言われ、定時された時価も実際より低額で納得いきません。どうしたらいいですか。

交通事故で車を壊された場合、被害者は原則として修理費相当額を損害として請求することができます。但し、修理費全額が必ず損害として認められるわけではなく、修理が必要でまた修理費が相当と認められる場合に限られます。
物理的全損(車が修理不可能な程度に損壊した場合)、経済的全損(修理費が交通事故直前の車の時価(+買替諸費用)以上にかかる場合)、車体の本質的構造部分が客観的に重大な損傷を受けて買替ることが社会通念上相当と認められる場合には、買替差額費相当額を損害として請求することになります。

従って、修理費が車両時価より高い「経済的全損」にあたる場合には、修理費全額を請求することはできません。但し、車両の時価の増額請求や交渉ができるほか、車を買い替える際に必要な費用についても上乗せして請求できる場合があります。

経済的全損とはどういう意味でしょうか?

交通事故で言う「全損」には、修理が不可能な状態である「物理的全損」と、修理費が車の買い換え費用を上回る「経済的全損」があります。経済的全損と判断されると、交通事故の過失がない場合でも修理費全額を賠償してもらうことはできません。
車両の時価は、最高裁判所の判例で、同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を、中古車市場において取得するに要する価格をもって決するものとされています。中古車市場での取得価格の算定には、相手方保険会社は「オートガイド自動車価格月報(通称:レッドブック)」や「中古車価格ガイドブック(通称:イエローブック)」に基づいて主張してくるケースが多いようです。しかし、「レッドブック」記載の価格は、一般的に中古車市場で購入できる金額よりも低額である場合が多いと言われています。裁判上の損害額は、あくまで中古車市場で調達するのに必要な価格(再調達価格)なので、実際の時価がレッドブックより高額であることを示す資料を揃えて主張することで、相手方保険会社と適正な中古車取得価格について交渉することが可能です。

物損事故の損害賠償の内容とは?

物損事故で損害賠償の内容を確定させるには、被害に遭った車と同等の車両を中古車市場で調達する場合の価格になるかを調べることが必要です。同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等に加え、色や装飾等も影響しうるので、できるだけ同じ条件のものを選ぶようにしましょう。
また、被害に遭った車を中古車市場で調達する場合にかかる諸費用も損害に含まれます。具体的には、登録手数料、車庫証明手数料、納車手数料、廃車手数料、自動車取得税、新しく取得する車両本体価格に対する消費税相当額、事故車両の自動車重量税の未経過分などが含まれることになります。
以上のような費用を換算し、裁判上認められうる損害額と、相手方保険会社による提示額との差、更に裁判になった場合に要する費用や労力も加えて勘案して、相手方保険会社の提示する示談に応じるかどうかを決めることをお勧めします。

高木光春法律事務所のサービス

高木光春法律事務所では、交通事故の物損事故に関してもご相談をお受けしております。相手方保険会社との交渉や、裁判上請求等、幅広いサポートや代行を行っています。物損事故でお悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

被害者本人でなくても加害者に損害賠償を請求できる場合があるか?

先日、娘が交通事故に遭い、顔面に重度の傷害を負いました。娘だけでなく、親である私も非常に大きなショックを受けています。被害者本人だけでなくとも加害者側に慰謝料を請求できる場合はありますか。

交通事故で被害者が死亡した場合や、被害者が重度の傷害を負ったことにより死亡した場合と同じ位の精神的苦痛を被った場合には、被害者本人だけでなく、その親族にも固有の慰謝料請求権が認められることがあります。

被害者死亡の場合の遺族の損害賠償請求が認められる場合とは?

交通事故で被害者が亡くなった場合、被害者を相続した親族が、加害者に対する損害賠償請求権を相続により取得します。それとは別に、その親族本人も固有の慰謝料請求権を取得することができます。
民法711条では、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない」と定められていますが、最高裁判所は、傷害を負った者の母が、被害者が生命を害された場合にも比肩すべき精神上の苦痛を受けたときは、民法709条と710条に基づいて、親族の固有の権利として慰謝料を請求しうると判示しています。

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高木光春法律事務所では、交通事故に遭われた方の親族の方からのご相談もお受けしております。交通事故の問題でお悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

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