完済した場合も、完済したときから10年以内であれば、貸金業者から過払金を取り戻すことができます。
利息制限法1条は4、①元金が10万円未満の場合は年20%、②元金が10万円以上100万円未満の場合は年18%、③元金が100万円以上の場合は年15%を上限利率と定めて、これを超えた利息の支払いを無効と規定しています。約定の金利が利息制限法の上限利率を上回る場合、多く払い過ぎた利息分は、順次元本に充当するものとして計算されます。そして、計算上元本が完済になった場合、その後に支払われた分は、債務が存在しないのに支払われたことになるので、不当利得となりこの過払金を貸金業者から取り戻すことができます。
過払金の返還請求権は、最後の取引から10年が過ぎると消滅時効が完成してしまいます。消滅時効が完成すると、貸金業者は時効消滅を主張して過払金を返さなくても良いことになります。したがって完済したときから10年以内であれば貸金業者に対して過払金を返すように請求できます。
ただし貸金業者が任意に過払金を返還してくれることはまずないので、ぐずぐずしていると消滅時効が完成してしまう恐れがあります。その場合には、時効の完成を食い止めることが必要になります。完済後、すでに10年近いときは、時効完成前に貸金業者に内容証明郵便などで過払金の返還を催促し、その時点から6ヶ月以内に裁判を起こせば、時効の完成を食い止めることができます。