普通の事件であれば警察による本格的な取調べは、被疑者が逮捕された翌日より始まります。(無論、事件の種類や被疑者自身が容疑内容を事前に認めているかいないか等で変わる場合もあります。) 取調べにおいて、最初に共通して必ず行われることは被疑者の権利の告知です。
権利の告知には、以下のようなものがあります。
黙秘権
憲法第38条1項にて保障されている、自己に不利益な供述を強要されない権利。ここで言われる不利益とは、刑事責任を問われることや加重されるようなことをいい、民事上の責任に関わるものは含まれません。強要には、拷問のような直接的手段のみならず、過料や刑罰等による間接的手段も含まれます。
黙秘権の効果として、供述しないということ自体から有罪その他不利益な心証をとることは禁止されています。
署名押印拒否権
刑事訴訟法第198条第4及び5項にて保障されている。供述調書作成の場面にて、警察は被疑者に対して供述調書に誤りがないかを確認させ、その上で署名に押印を求めますが、被疑者が内容を認めない場合、あるいは内容に一部違いがあるような場合は押印を拒否することが出来る権利。内容の訂正を求めることもできる。(増減変更申立権)
権利告知の後に、本格的な取調べは始まります。日本の刑事事件において、被疑者の供述(自白)が最も有効な証拠となっていますので、捜査官も厳しく追及していきます。前述の黙秘権があるため、答えたくない質問にはもちろん答える必要はありませんが、捜査官も事件に関係のない雑談等から何とか会話をスタートさせ、そこから事件内容に切り込んでいこうとします。黙秘権を行使するのは意外と大変なようです。
黙秘権を行使することなく、警察の捜査官の取調べを受けると、捜査官はメモ等を取りながら、被疑者に証拠を見せる等して事件内容を確認していきます。取調べが一区切りつくと捜査官は供述調書の作成に取り掛かります。作成された調書の内容に異存がなければ、全てのページに拇印を押し、最後のページに署名することになります。内容に不満がある場合は、捜査官に書き直しを要求することができます。よく、内容に少々不満があっても署名や拇印を押してしまいがちのようですが、取調べでの調書は自分の未来がかかったものとなりますので絶対に妥協してはいけません。