「症状固定」とはなんですか。「症状固定に至った。」と言われたら、これからどうしたらいいのでしょうか。
交通事故でケガなどを負い、治療して回復し完治するのが最善ですが、残念ながらこれ以上治療を続けても痛みがそれほど変わらないなど、さしたる効果が得られなくなる場合があります。このような状態を「症状固定」といいます。症状固定に至る前は、治療費や休業損害、入通院慰謝料などが請求できますが、症状固定に至ると、この段階より後に発生する治療費は請求できなくなります。もし症状固定の段階で障害が残った場合には、後遺障害に対する賠償の問題として、逸失利益や、後遺障害慰謝料の請求が問題になります。
実務上、保険会社から治療費の打ち切りを告げられる場合もありますが、治療費の打ち切りが症状固定とイコールの関係になるわけではありません。症状固定は医師が行うもので、被害者の問診なども踏まえたうえで決定されます。治療費の打ち切りは保険会社の主張にすぎないので、これに従う必要はありません。
交通事故で後遺症が残った場合、どのような賠償の請求ができますか?
症状固定後に交通事故の症状が残った場合、このような障害について後遺障害の等級認定を受け、賠償金を求めていくことになります。
後遺障害に関する賠償金は、積極損害、消極損害、後遺症慰謝料の3つがあります。
「後遺症慰謝料」とは、後遺症をもたらす傷害を受けたという精神的肉体的苦痛に対する賠償のことです。
大きく分けて、積極損害、消極損害、後遺症慰謝料の3種類です。
積極損害
積極損害とは、交通事故に遭ったために被害者が支出を余儀なくされた費用のことをいいます。具体的には、治療費、付添看護費、通院付添費、将来介護費、通院交通費・宿泊費、家屋・自動車等改造費、装具費、弁護士費用、損害賠償請求関係費などが挙げられます。
消極損害
消極損害とは、交通事故に遭わなければ、被害者が得られたであろう利益を失ったことによる損害のことをいいます。後遺障害事故の場合、症状固定前は休業損害、症状固定後は後遺症逸失利益(後遺症によって事故以前のように働くことができなくなったことによる収入減少)にあたります。
後遺症逸失利益の算定には、「労働能力喪失」「ライプニッツ係数」という概念が問題になります。後遺症逸失利益の算定方法は以下のようになります。
【後遺障害逸失利益】
=【基礎収入】×【労働能力喪失率】×【労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数】
なお、症状固定時に18歳未満の未就労者の場合は以下のようになります。
【後遺障害逸失利益】
=【基礎収入】×【労働能力喪失率】×【67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数】
後遺症慰謝料
目安は、次の表のとおりです。
(財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編集・発行損害賠償額選定表基準(いわゆる「赤い本」)
第1級 | 2800万円 |
---|---|
第2級 | 2370万円 |
第3級 | 1990万円 |
第4級 | 1670万円 |
第5級 | 1400万円 |
第6級 | 1180万円 |
第7級 | 1000万円 |
第8級 | 830万円 |
第9級 | 690万円 |
第10級 | 550万円 |
第11級 | 420万円 |
第12級 | 290万円 |
第13級 | 180万円 |
第14級 | 110万円 |
交通事故に遭った本人に重度の後遺障害が残った場合には、近親者にも別途慰謝料請求権が認められる場合があります。また、自賠責14級に至らない後遺障害があった場合でも、それに応じた後遺障害慰謝料が認められるケースもあります。
高木光春法律事務所のサービス
交通事故における賠償額の算定は、被害の状況や年齢、就業状況によっても異なり、被害者側本人で把握するのは非常に難しいのが現状です。分からないままにしておくと、受け取れるべき保証を受け取ることができない等の不利益を被る恐れもあります。高木光春法律事務所では、依頼者の方の事案に応じて適正な賠償額を算出し、被害者の代理人として交渉や、法的手続きを行います。