夫婦共働きの場合、または妻が専業主婦の場合であっても財産分与は2分の1というのが原則になっています。
しかし、夫婦どちらかが医者などの資格業であり収入が高く、財産分与割合が2分の1にならない場合もあります。裁判例においても、個人の特殊な能力や努力によって高額な財産を得た場合、財産分与の2分の1ルールを適用しなかった事例もあります。このように財産分与の割合が2分の1でなくなる場合は、あくまでも個別的に妻の貢献度が低い場合のみです。
しかし、資格を取る段階で既に結婚していて、妻が「経済的・精神的にサポートをしていた」という場合、貢献度は高いと言えます。妻のサポートが充実していた場合は、資格自体を財産として、むしろ財産分与が高額化する場合もあります。
[福岡高等裁判所昭和42年(ネ)第288号、昭和42年(ネ)第289号離婚等請求控訴事件昭和44年12月24日(抜粋)]
財産分与の額であるが、前示の一審原、被告の婚姻継続期間、本件離婚に至った経緯、一審原告の年令、双方の財産状態、婚姻中における一審原告の医業への協力の程度、子の扶養関係(この点は後記第四、に認定のとおり)等諸般の事情を考慮して、金二、〇〇〇万円が相当であると認める。
この点に関し、一審原告は、財産分与の額は夫である一審被告の財産の二分の一を原則とすべきであると主張する。なるほど、財産分与の本質は夫婦間における実質的共有財産の清算を中核的要素とするものと考えられるから、例えば、夫の財産が全部夫婦の協力により取得されたものでしかも双方の協力の程度に甲乙がないような場合であれば、財産分与の額を定めるにあたり夫の財産の二分の一を基準とすることも確かに妥当であろうが、本件においては、一審被告が前示の如き多額の資産を有するに至ったのは、一審原告の協力もさることながら、一審被告の医師ないし病院経営者としての手腕、能力に負うところが大きいものと認められるうえ、一審原告の別居後に取得された財産もかなりの額にのぼっているのであるから、これらの点を考慮すると財産分与の額の決定につき一審被告の財産の二分の一を基準とすることは妥当性を欠くものといわざるを得ず、一審原告の主張は採用できない。