FAQ – 借地・借家トラブル

建物を借りるときの初期費用として、保証金を支払うよういわれているのですが、保証金とはどのようなものですか。敷金とはどのように異なるのですか。

 

賃貸借契約期間中に、賃料の不払い、賃借物の損耗・損壊など、賃借人に債務不履行があった場合、保証金から差し引かられることになり、その意味では敷金と同様の機能を果たします。ただし、保証金は「建設協力金」などと称して授受されることもあり、賃貸人が変更になった場合に敷金とは扱いが異なることになるので注意が必要です。また、保証金については、償却の定めがあったり、返還時期について特別の定めを置く場合があります。

 

保証金が使われる場合

近年では、特に事業用の建物では、敷金ではなく、保証金として一定の金銭の授受をすることが増えています。

保証金は、賃貸借契約期間中に、賃料の不払い、賃借物の損耗・損壊など、賃借人に債務不履行があった場合に、損害分に充当されることになり、その点では敷金と同様の機能を果たしますが、敷金とは異なる趣旨で授受されることもあるので注意が必要です。

すなわち、保証金は、「建設協力金」などと称して授受されることがあります。

この「建設協力金」とは、例えば地主がビルを建設する際に、その建設資金の全部を自己資金や銀行からの借り入れだけで賄うのではなく、テナントから一部を借り受けて費用に充てようとする際の金銭のことです。

このような性質であるため、担保というよりは賃借人からの「借入金」なのですが、金利の定めを置かずに授受されることも多く、賃貸人にはかなり有利な仕組みになっています。

このような性質の保証金については、返済期限を「明渡時」ではなく、「7年」とか「10年」と定めることもあります。しかも、期限時に一括で返還するのではなく、長期の分割払いとするケースが多いのです。

このような保証金の場合、敷金ともっとも大きな違いが生じるのは、賃貸人が変わった場合です。

敷金を差し入れた場合には、賃貸人が変わった場合でも、賃借人は明渡後、新賃貸人に対して敷金の返還を求めることができます。これに対して、建設協力金としての保証金の場合は、実質的な性格が貸金であるため、賃貸人が変わった場合でも、旧賃貸人に対して返還を求めなければなりません。

賃借人の債務不履行を担保するという機能は一緒でも、実質的な性格や、それによって賃貸人変更後の取扱いが異なるという点には注意が必要です。

 

保証金の「償却」とは

保証金の場合、契約更新時や契約終了時に、何割かを「償却する」と定められることがあります。

ここでの「償却」という言葉は、要するに「返さなくてもよくなる」という意味で用いられています。よほど賃借人に不利な条件でなければ、このような特約も有効として取り扱われます。

現在、借地上に建物を所有し居住していますが、だいぶ老朽化が進んできたので、建て替えか、増改築をしたいと思っています。どのような手続きを踏む必要があるでしょうか。

 

借地契約の場合、契約上、建替え・増改築には賃貸人の承諾を要するとされていることがほとんどです。その場合、賃貸人の承諾を得るため、交渉を行う必要があります。

 

地主の承諾は必要か?

借地契約には、「賃借人は、賃貸人の承諾なしに増改築をしてはならない」という条項が定められているのが一般的です。

賃貸人としては、自由に借地人が建替え・増改築を行えるとすれば、それだけ賃貸人自身による土地利用が妨げられ、借地権を強固なものとしてしまうからです。

もっとも、建物はいずれは古くなりますし、長い年月の間には、家族が増えて手狭になったり、家族の介護の必要性等から間取りや仕様を大きく変える必要が生じることもあります。

借地人としては、一切、建替え・増改築ができないとすると大変困ったことになります。

そこで、賃借人側が承諾料の支払いを提示し、賃貸人との間で合意を取り付け、建替え・増改築を行うのが通常です。

 

地主の承諾が得られない場合の対処方法

建替えや増改築をしたいのに、賃貸人がこれに承諾しない場合、「借地非訟手続」という制度を利用します。これは、裁判所に、「地主の承諾に代わる許可」を求めるものです。

申立てにあたっては、増改築の種類、規模、構造、使用の目的、借地権の対象土地、現存する建物、増改築部分のそれぞれの位置、形状及び相互の関係を示す図面などの記載、あるいは資料を添付する必要があります。

また、申立ては、増改築を始める前に行う必要があります。

裁判所は、さまざまな事情を考慮し、相当と認めるときは、「地主の承諾に代わる許可」を賃借人に与えます。

ただし、その際には、いわば承諾料に代わるものとして、賃貸人に対する一定額の金銭の支払いが命じられるのが通常です。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、賃借人の方の代理人として交渉を行うほか、必要に応じて借地非訟手続を申し立て、建替え・増改築の目的を達成します。

賃貸人との交渉が難航している場合などは、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

建物買取請求とは、借地契約が借地人による契約不履行など、借地人の都合ではない理由で終了した場合に、賃借人が賃貸人に対し建物を買い取ってもらうことです。

造作買取請求とは、賃貸借契約継続中に、賃借人が賃借物に取り付けたもの(造作)を、賃貸人に買い取ってもらうことです。

借地契約が期間満了により終了し土地を返還する場合、本来であれば土地上の建物を取り壊して返還すべきということになりそうですが、それではあまりにも不経済です。とはいえ、賃貸人が、賃借人の所有していた建物をただで利用できるとすれば、賃借人の犠牲の下で賃貸人が合理的な理由もなく利益を受けることになりますから、不公平な結果となります。

そこで、認められたのが、賃借人による建物買取請求権です。

この権利を賃借人が行使した時点で、賃貸人との間で建物についての売買契約が成立してしまいます。しかも、建物買取請求権は、特約により排除することができません。

建物買取請求権は、賃借人の利益を守る、非常に強力な権利といえます。

なお、実際には、賃貸借期間が満了しても賃貸人は容易に更新を拒絶することはできず、借地権は事実上、半永久的な権利といっても差し支えがないほどに、強力な権利です。

 

建物買取請求権における「時価」とは?

建物買取請求権における「時価」は建物を取り壊した場合の動産としての価格ではなく、建物が現存するままの状態における価格であって、敷地の借地権の価格は加算すべきではないが、この建物の存在する場所的環境は参酌すべきとされています(最高裁昭和35年12月20日判決)。

 

借家人の造作買取請求権とは何ですか?

造作とは、借家人が建物に取り付けたもので、建物をより使いやすくするものをいいます。例えば、畳、ガラス戸、雨戸、ふすま、障子、電気・ガス・水道の設備、飾戸棚などがあります。エアコンなど取り外しができるものは造作にはなりません。

賃貸人の同意を得て取り付けた造作であれば、賃借人の契約不履行によらずに契約が終了した後、賃借人は賃貸人に対し買取を請求することができます。買取価格は当該造作の客観的な時価ということになります。

ただし、造作買取請求権は特約により排除されてしまいますので、契約書を最初によく確認しておく必要があります。

現在、借地上に建物を所有し居住していますが、この建物を第三者に譲り引っ越しをしたいと思っています。自由に譲ることはできるでしょうか。

 

借地上の建物を第三者に譲る場合は、建物と土地の使用権(借地権)と切り離して譲渡することはできませんから、当然、借地権付きで譲渡することになります。しかし、借地権譲渡にあたっては、賃貸人の承諾が必要となります。

 

借地権は自由に売却することができるか?

民法上、借地人は、賃貸人の承諾を得なければ、借地権を売却したり、賃貸物を転貸(又貸し)したりできないとされており、これに違反すると、最悪の場合、賃貸借契約を解除されてしまいます。

これは、賃貸借契約が当事者間の信頼関係を基礎として成立するものであるためです。賃貸人としては信用ができそうな相手だと思ったから貸したのに、突然、見ず知らずの、経済力もなさそうな人物に賃借権を譲られたら困るからです。

なお、賃貸借契約の際に、自由に賃借権を譲渡できる旨を定めていた場合は、承諾は必要ありません。その場合は、一般的に、契約時に多額の「権利金」が授受されることが多いようです。

居住用マンションの一室を借りている借家人が、旅行会社の事務所として部屋を使用していることが分かりました。建物賃貸借契約を解除することはできますか。

 

賃借人に用法違反があった場合で、それによって賃貸人・賃借人間の信頼関係が破壊されていると認められる場合は、契約を解除できます。信頼関係が破壊されているか否かは、事務所としての使用形態、来訪者の有無・程度等の具体的な事情も考慮して決せられます。

 

 契約解除は簡単にはできない。

一般的な契約の場合、契約違反があれば契約不履行として、契約を解除することができますが、賃貸借契約の場合、それに加えて、契約不履行により賃貸人・賃借人間の信頼関係が破壊された場合でなければ、解除することができません。これは、賃貸借契約が信頼関係を基礎とする契約であることに加え、解除された際の賃借人側の不利益が非常に大きいことから、解除権に一定の制限がかけられているためです。

 

用法違反をしている賃借人はどのような場合に追い出せるか?

例えばアパートの居室内での楽器の使用を禁止していた場合でも、1度や2度、演奏したというだけでは通常、有効に契約を解除することはできません。

他方で、再三注意をしたにも拘わらず賃借人が従わず、しかも隣近所に多大な迷惑が掛かっているというケースであれば、解除も認められうるでしょう。

契約段階で認めていなかった営業(風俗営業等)を行った場合や、住宅用に賃借した場合に店舗や事務所として使用した場合にも用法違反になり、契約を解除することができます。ただし、使用形態、来訪者の有無・程度等の具体的な事情を考慮して、実質的に賃貸人に悪影響を及ぼさない場合には、信頼関係破壊が認められないとして、解除が認められない場合もあります。

信頼関係破壊が認められるか否かはケースバイケースですが、判例上、解除が認められたものとしては、次のようなものがあります。

・アパートにおいて徹夜麻雀をしばしば行い、騒音のために他の居住者の睡眠を妨げた事例(東京北簡判昭43.8.26判時538号72頁)

・使用目的を飲食店として賃貸した店舗において、賃借人が金融業を営んだ事例(名古屋地判昭59.9.26判タ540号234頁)

・賃貸家屋が暴力団事務所として使用された事例(宇都宮地判昭62.11.27判時1272号116頁)

・賃貸店舗の営業態様を純喫茶から風俗喫茶に変更した事例(東京高判昭59.3.7判時1115号97頁)

・2階建て住宅の一部分を賃借した賃借人が8匹ないし10匹の猫を飼育した事例(東京地判昭62.3.2判時1262号117頁)

借地上の家が、だいぶ老朽化しているので、不動産業者とも相談のうえ、更地にして新たな家を建て、借地権付きで他に売却することにしました。そのことを地主に相談したところ、「名義書換料」と引き換えに建替えと借地権譲渡を承諾するといわれました。名義書換料とはどのようなもので、どのくらいが相場ですか。また、名義書換料を払わなければ絶対に増改築はできないのでしょうか。

一般的な借地契約では、借地権譲渡や増改築は地主の承諾が必要とされており、承諾の代価として支払うのが「名義書換料」であり、比較的、一般的な慣習といえます。地主が承諾しない場合、裁判所に対し、「承諾に代わる許可」を求めることができます。

 

なぜ名義書換料の授受がなされるのか?

賃貸借契約では、法律上、無断での賃借権譲渡や転貸が禁止されているほか、契約で、無断で建物の増改築が禁止されているのが一般的です。

賃貸人とすれば、建物が増改築されるとそれだけ契約終了が遅くなり自身で土地を活用できなくなりますし、信頼関係を有しない第三者に借地権が譲渡されたり、増改築がなされたりすると借地管理に支障を来すおそれがあるためです。

もっとも、増改築や賃借権譲渡がなされるとしても、それに見合う見返りがあれば、賃貸人にとってもメリットのある話といえます。このような背景事情から、名義書換料の授受がなされるのです。

 

名義書換料の相場

「相場」は地域等によって変わりますが、概ね次のとおりといわれています。最終的には、当事者間の話し合いによって決められます。

 

種類 内容 相場
賃貸借譲渡、
転貸承諾料
賃借人が、賃借人としての地位(賃借権)を第三者に譲渡したり、自分は賃借人の地位に留まったまま第三者に転貸(又貸し)する際に授受されるもの。 借地権価格の10%程度。
借地権割合は、路線価図に記載がある。
建替え、
増改築承諾料
借地上の建物の建替え・増改築時に授受されるもの。 更地価格の3%程度。具体的な料率は、従前の建物と新建物との間に、規模、用途、構造、床面積等につき変更があるか、増改築の場合はその規模等に応じて、決められる。
借地権の
条件変更承諾料
建築する建物の種類など、借地条件を変更する場合に授受されるもの。 更地価格の10%程度。

 

賃貸人が借地権の売買を承諾してくれない

賃貸人が承諾してくれない場合は、賃借人は、裁判所に対し、「借地権設定者の承諾に代わる許可」(代諾許可)を求めることができます。

裁判所は、賃借人からの申立てを受け、双方から事情をきき、相当と認めるときは、その許可を与えることになります。このとき、裁判所は、賃貸人側にも配慮し、承諾料に相当する金銭の支払いと引き換えに、賃借権譲渡や建替え・増改築等を許可します。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、賃借人の方の代理人として交渉を行うほか、必要に応じて借地非訟手続を申し立て、借地権譲渡、建替え・増改築の目的を達成します。

賃貸人との交渉が難航している場合などは、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

時価の上昇、周りの家賃相場よりも家賃が安くなった場合、固定資産税の負担が増えた場合など借家人に対して値上げ請求をすることができます。

 

原則として、契約期間内の家賃は一定です。

しかし、契約書に「契約期間内の値上げは無い」という条項がなければ、期間内でも値上げ請求をすることはできますが、普通は契約更新時に請求することになります。

借家人が値上げに応じないが、どうしても家賃を上げたい場合には、簡易裁判所に家賃の値上げを求める調停を起こします。

民事調停法24条の2の調停前置主義により、いきなり裁判にすることはできません。

値上げが認められる条件としては、

土地建物に課せられる税金(固定資産税、都市計画税など)の負担が増えたとき

周辺の家賃相場と比べ、家賃が低い場合

土地建物の価格が高騰したとき

契約書に「家賃の値上げをしない」という特約がないとき

です。

調停の際には、上記の条件を調停委員や裁判所が総合的に判断します。

現在、一軒家を借りていますが、周辺の同等条件の物件と比較して相当高額な賃料を支払っていたことが分かりました。できれば減額を求めていきたいのですが、どのようにすればよいでしょうか。

 

まず、近傍の賃料と比較して高額であることが分かる資料を集めます。

交渉方法としては、まずは任意に話し合いを持ち、まとまらない場合は、民事調停を申し立てるのがよいでしょう。

 

賃料の減額はどんな時に認められますか?

借地借家法では、建物の借賃が、土地建物の価格低下等の経済事情の変動によって、あるいは近傍同種の建物の借賃に比較して不相当になったときは、契約の条件に関わらず、当事者は将来に向かって建物の借賃の増減を請求することができるとされています。

つまり、賃借人からも賃料の減額を請求することができます。

 

減額交渉、請求の仕方

まず、オーナーないし物件の管理会社宛に、賃料減額に関する要望を伝えます。

賃貸借契約は継続的なものですから、相手との信頼関係を害さないことが肝要です。適正な賃料額にすることで、借主側としても、更新の際に移転する動機が薄れ、あるいは、より長期間入居することが可能となり、結局はオーナー側としても利益があることを説明します。

任意の話し合いで決着がつかない場合は、民事調停を申し立てて、賃料の改定を求めることができます。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

賃料改定により、月々の負担が減ったとしても、その分、弁護士費用の負担がかかってくるようであれば本末転倒ですから、どのような形で弁護士に委任すべきかは、慎重に検討する必要があるでしょう。

もっとも、ビルのワンフロアを借りているなど、賃料額が相当高額な場合は、それだけ減額幅も大きくなりやすいため、事案によっては、民事調停等を弁護士に依頼しても、差し引きで大きな利益が生じる可能性もあります。

また、減額幅がそれほど見込めない場合でも、調停にはご自身で出頭し、弁護士は継続的にご相談に応じ、後方でサポートするという形でお手伝いすることも可能です。

賃料減額交渉でお悩みの方は、一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

大家さんが一方的に家賃の増額を求めてきて、「この金額でなければ、家賃を受け取らない」といわれました。どうしたらいいでしょうか。

 

家賃の増額に納得できない場合は、賃借人としては、相当と考える家賃(普通はこれまでの家賃)を供託することで、とりあえずは債務不履行責任を免れることができます。なお、賃貸人から賃料増額請求がなされ、裁判上これが確定した際は、増額請求の時点からの差額を支払う必要があります。

 

家賃増額にどのように対処するか?

賃貸借契約の継続中、「賃貸人が突然家賃の賃料の増額を求めてきた」、あるいは「賃貸人が賃貸借契約の解除を通告してきた」などの事情で、賃料を受け取ってくれなくなることがあります。そのような場合でも、賃借人がそのまま放置すると、今度は賃料不払いを理由に賃貸借契約を解除されてしまいます。

このように、債権者がお金の受領を拒絶した場合については、供託という制度が用意されており、賃貸借契約の存否や賃料額に争いがある場合に広く利用されています。

 

供託はどのようすればいいか?

供託は、具体的には、債務履行地(一般的には賃貸人の住所地)を管轄する法務局で行います。

供託書のほかに、賃借人が法人の場合は資格証明書、代理人が申請する場合は委任状など、必要書類を添えて提出します。そのうえで、自身が相当と考える賃料(普通はこれまでの賃料)を供託します。

供託を行うと、賃料を直接賃貸人に支払った場合と同様の効果が生じ、債務不履 行の問題は生じません。

なお、賃貸人は、賃料を供託された場合は、「新賃料の一部として受け取る」という形で、還付請求することができます。

また、その後、裁判で賃料増額が認められた場合、賃料を全額払っていたことにはなりませんから、実際に支払った金額と認められた金額の差額に、年1割の利息を付けて支払うよう、賃借人に請求できることになります。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

供託自体は、専門家のサポートが必要なほど難解な手続きではありませんので、ご自身で法務局に赴き、法務局職員の方のアドバイスを受けながら手続きを行うことができると思います。

ただし、手続きに際して不安もあるでしょうし、また、近い将来に賃貸人側から賃料改定を求める民事調停を申し立てられることも想定されます。

もし、専門家の助言やサポートの必要性を感じたら、高木光春法律事務所までお気軽にご相談ください。

現在、アパートの一室を中年の夫婦に貸していますが、既に半年分も不払いの状態となっています。立退きを求めることはできるでしょうか。

 

賃貸借契約の場合、解約条項があっても、一度の不払いにより契約解除することはできませんが、概ね3か月位不払いが続けば、有効に契約を解除できます。もっとも、直ちに明渡訴訟を提起するのがよいとは限らず、場合によっては借家人と明渡しに関する条件を再協議したり、将来の強制執行妨害を防止するための措置を講ずる必要があります。

 

家賃滞納者の立ち退かせ方

建物賃貸借契約は、月々の賃料を支払ってもらう代わりに、建物を使用させることを内容とする契約ですから、賃料の支払いがない以上、貸主側としては契約を解除して建物の明渡しを請求することができます。

もっとも、明渡しによる借主側のダメージは大きいので、最低でも2か月分以上の不払いがなければ契約を有効に解除できません。

ところで、仮に有効に契約を解除できる場合でも、直ちに明渡しの裁判に持ち込むことが得策かというと、そうとも限りません。裁判を提起し、明確な対立構造を作り出すことで、借主側の「居座り」を助長し、かえって長期間居座られて経済的損害を拡げることもあります。

しかし、話し合いでの解決にこだわり、いたずらに交渉に時間をかけてしまっても、やはり損失を拡大させます。賃料を滞納している借家人は、「○か月後には大きな入金がありますから、それが入ったら大家さんに優先的にお支払いをしますよ。」などと言葉巧みに支払いの猶予を求めてきますが、大抵の場合、あてになりません。

結局のところは、迅速・的確な交渉と、適切な時期の訴訟提起によって、あまり損害を被らず明渡しを実現することができます。

なお、明渡訴訟の提起にあたっては、将来の強制執行妨害を防止するため、しかるべき保全措置を講ずる必要があります。

どういうことかというと、例えば1年以上賃料を滞納しており、難なく明渡しの勝訴判決を得たとしても、その判決により強制執行ができるのは、裁判の相手方(被告)になった賃借人に対してだけです。

しかし、悪質な賃借人の場合、このことを逆手に取り、訴訟継続中、貸主に内緒で、第三者に転貸する(建物の占有を移転する)ことにより強制執行を免れようとします。実際にこれをされると、賃借人に対する勝訴判決では追い出すことができず、改めて当該第三者に対して明渡訴訟を起こさなければならなくなります。

このような事態を回避するため、占有移転禁止の仮処分を申し立てることにより、明渡請求の相手方を賃借人に固定することができます。

建物の賃貸借契約が終了したのですが、賃貸人から原状回復を求められており、もしやらない場合は、代わりに自分がやって敷金から差し引くといわれています。原状回復はどの程度する必要があるのでしょうか。

 

原状回復とは、借りた当時の状態まで戻すことではなく、通常の使い方をしていて生じた損耗等は、賃借人が復旧する必要はありません。

 

原状回復の内容

国土交通省が発表したガイドラインによると、賃借人が負担しなければならない現状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物の価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること」とされています。

つまり、通常の使用による自然損耗等の修繕は、賃借人の原状回復義務には含まれないのです。原状回復とは、賃借人が借りた当時の状態に戻すという意味ではありません。

例えば、賃貸人から、壁紙(クロス)の張り替え、畳の表替え、床の張り替え、天井の塗り替え等を求められても、基本的には賃借人はこれに応じる必要はありません。

賃貸人の中には、これらの費用を敷金から差し引き、甚だしくは、さらに不足分を賃借人に請求できるのが当たり前と考えている人も多いようですが、そのような請求に応じる必要がないことはもちろん、堂々と敷金の返還を請求すればよいのです。

 

敷金から原状回復費用を差し引かれてしまったときの対処方法

まず、賃借人の原状回復義務の範囲に含まれるか否かを確認しましょう。

もし、義務に含まれないものなのに、敷金から控除していた場合は、文書により返還を請求します。これに応じない場合は、民事調停や少額訴訟等の申立てを検討します。

返還請求額が少額で、あまりコストをかけたくないという場合でも、その事情は賃貸人も同じであるため、早期且つ任意に返還を受けられるケースもあります。

敷金とは、賃料の不払い、賃借物の損耗・損壊など、賃貸借契約期間中に生じた賃借人の債務不履行を担保するために、賃借人が賃貸人に対して差し入れておく金銭のことです。

敷金は、建物明渡時に残額があれば返還されます。

もっとも、実務上は、賃借人が負う原状回復義務の範囲に関してトラブルが生じることが多いため、国土交通省が平成10年3月に取りまとめた原状回復に関するガイドラインを策定、公表しています。

このガイドラインには法的拘束力がありませんが、裁判所も基本的にはこのガイドラインを尊重しながら原状回復義務の範囲を定め判断しているのが実情です。

アパートの一室を借りており、このたび退去することになったのですが、大家さんが、原状回復に費用がかかるなどといって敷金を返してくれません。どうしたらよいでしょうか。

 

 

まず、賃貸人(大家)から、敷金から控除したとする費用の明細を取り寄せ、各項目が、敷金から控除できるものかを国土交通省のガイドラインから確認します。その上で文書等により敷金の返還を請求しましょう。

 

敷金から差し引かれる補修費用等にはどのようなものがあるか?

敷金とは、賃料の不払い、賃借物の損耗・損壊など、賃貸借契約期間中に生じた賃借人の債務不履行を担保するために、賃借人が賃貸人に対して差し入れておく金銭のことで、保証金の一種です。建物明渡時に残額があれば返還されます。

あくまでも「賃借人の債務不履行を担保するもの」なので、普通の使い方をしていて、自然に汚れたり、壊れたりした場合は、もともと賃借人が負担する必要はありません。そのような自然損耗等に対しては、月々支払っている賃料により賄われていると考えられるからです。

実務上は、賃借人が負う原状回復義務の範囲に関してトラブルが生じることが多いため、国土交通省が原状回復に関するガイドラインを策定、公表しています。

このガイドラインには法的拘束力がありませんが、裁判所も基本的にはこのガイドラインを尊重しながら原状回復義務の範囲を定め判断しているのが実情です。

よくある例として、賃貸人側は、壁紙(クロス)の張り替え費用などを賃借人に負担させようとしますが、通常、賃借人が負担する必要のないものです。

 

敷金を返還してもらうための方法

ガイドラインに基づいて、返還を強く求めても埒が明かない場合は、まず内容証明郵便により返還を求めるのが一般的です。

敷金返還請求する場合のひな型を参考までに揚げておきます。

 

敷金返還請求書の文例

敷金返還請求書

 

私は、平成〇〇年〇月〇日に下記物件について貴殿との間で賃貸借契約書を締結しました。この契約は、平成○○年○月○日限りで終了し、同建物の明け渡しも既に完了しました。ついては、本契約に基づき、貴殿に預けている敷金の○〇円を本状到着後○日以内に返還してください。

( 私名義〇〇銀行〇〇支店普通口座× × × × × × へ、振り込んでください。)

「原状回復をめぐるガイドライン」では、家賃滞納や故意・過失による汚損・毀損を除いて敷金は返還することになっています。

なお、同日までに振り込みがない場合は、法的手続きを考えます。

物件の表示

○ ○ 市○ ○ 町○ 丁目○ 番○ ○ 号

○ ○ ○ マンション○ ○ ○ 号室

平成〇〇年〇〇月〇〇日

通知人 〇〇市〇〇町〇丁目○ 番○ ○ 号

氏名○ ○ ○ ○ 印

披通知人 〇〇市〇〇町〇丁目○ 番○ ○ 号

○ ○ ○ ○ 殿

 

もちろん、ご本人名義の文書でもいいのですが、弁護士に依頼し、弁護士名で送付した方が、後日の裁判沙汰を警戒して、相手方としても任意に支払いをする可能性が高くなります。

それでも返還に応じない際は、費用対効果や心情的な部分も考慮し、少額訴訟か、民事調停の申立てを検討します。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

賃貸人側が敷金の返還請求に応じない場合でも、弁護士が代理人として介入することにより、賃貸人側が紛争の長期化を嫌って支払いに応じてくるケースもあります。

弁護士費用のご負担も考慮に入れた解決方法を検討、ご提案いたしますので、お悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

長期間賃料を払わない借家人を追い出したいのですが、明渡訴訟を起こす前に注意すべきこととは何ですか。

 

明渡の勝訴判決を得たとしても、それに基づいて強制執行ができるのは、被告になった者(賃借人)だけです。賃借人が建物の占有を他人に移転しないよう仮処分を申し立て、事件の相手方を固定する必要があります。

 

仮処分が有効と聞きましたが・・・。

明渡訴訟の提起にあたっては、将来の強制執行妨害を防止するため、しかるべき保全措置を講ずる必要があります。

どういうことかというと、例えば1年以上賃料を滞納しており、難なく明渡しの勝訴判決を得たとしても、その判決により強制執行ができるのは、裁判の相手方(被告)になった賃借人に対してだけです。

しかし、悪質な賃借人になると、このことを逆手に取り、訴訟の間に建物を第三者に転貸したり譲渡する(建物の占有を移転する)ことにより強制執行を免れようとします。

実際にこれをされると、賃借人に対する勝訴判決では当該第三者を追い出すことができず、改めてその者に対して明渡訴訟を起こさなければならなくなります。

このような事態を回避するためには、占有移転禁止の仮処分を申し立てることにより、明渡請求の相手方を賃借人に固定する必要があります。

 

仮処分にはお金がかかります。

賃借人が貸主に無断で第三者に占有を移転することを防止するという事柄の性質上、仮処分命令は、原則として、賃借人からの弁明を聴かずに出されます。

その代わりに、裁判所から一定程度の保証金を法務局に預けるよう求められます。この保証金は、貸主が明渡訴訟に敗れ、しかも賃借人が仮処分によって損害を被った場合の担保として要求されるもので、問題がなければ後日返還されます。保証金の具体的な金額は、賃借人が悪質かどうかといった事情にもよりますが、概ね賃料の1~3か月程度です。

しかし、一時的とはいえお金を預けることは賃貸人にとって不利益といえるでしょう。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

占有移転禁止の仮処分は、相手方の性質によっては不要と考えられる場合もあり、また保証金の問題もあるため、実際に行うか否かは、十分に協議のうえで決めていくこととなります。

仮処分は、訴訟とは別個の手続であり、相当の時間・労力を要するため、明渡事件自体とは別事件の扱いとなりますが、高木光春法律事務所では、明渡事件の弁護士費用等も考慮し、無理のない範囲で費用のご提示をさせていただきます。

30年の借地契約期間の満了に伴って、地主から更新料の支払いを請求されました。更新料は支払わなければならないのでしょうか。

 

借地契約で、更新料についての定めがなければ、地主から請求されても支払う必要はありません。また、更新料の定めがあっても、不当に高額であれば、交渉の余地があるでしょう。

 

更新料はどういう性質のものか?

更新料とは何かについては、昔から議論があり、一般的に、不足賃料の一括前払いや、更新拒絶しないことについての対価などと説明されています。

借地契約の更新時に、「慣習」として地主が更新料を請求してくることもあるようですが、更新料は法律に定めがないものですので、契約内容となっていない限り、支払義務はありません。また、更新料が契約内容となっていても、その金額が法外なものであれば、無効となることもあります。

更新料の金額・相場についてですが、借地契約で、具体的な金額や算定方法が決まっていれば、それによります。ただし、賃借人に一方的に不利な内容であれば、無効となる可能性があります。

「当事者双方の協議に基づき金額を決める」等の約定がある場合は、協議により決めることとなりますが、一般に、更地価格の3~5%とされることが多いと思われます。

 

地主から更新料を請求された場合の対処方法

賃貸人から一方的に更新料の支払いを求められても、言われるままにこれに従う必要はありません。まずは、更新料の授受に関する特約があるかを確認しましょう。

仮に特約がない場合であっても、賃貸人との関係はその後も続くものですので、支払を一切拒絶することが常に適切とはいえません。賃貸人との協議の中で、円満に契約更新をするための妥協点を見出していくことも大切です。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、更新料の授受に関するトラブルについても、ご相談、ご依頼をお受けしております。

更新料に関する協議は長期化することも多く、期間の経過とともに当事者間の溝が深くなり、ストレスも大きくなります。そのような場合は、法律家によるサポートが有効です。お悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

現在、住宅を人に貸しているのですが、今度、遠方に赴任していた息子夫婦が転勤から戻ってくることになったので、できれば賃貸借契約を終了させたいのですが。

 

賃貸借契約を終了させるには、その旨を賃借人と合意するか、契約更新を拒絶する必要があります。更新拒絶により契約を有効に終了させるには、契約期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知をする必要があり、且つ、更新拒絶につき正当事由が備わっている必要があります。

 

更新を拒絶する場合のやり方

住まいは生活の拠点であり、移転するには多額のコストがかかるため、法律は賃借人を厚く保護しています。賃貸借契約の期間が満了しても、契約は自動的に更新されてしまいます。

賃貸人は、賃借人に出て行ってもらうためには、まず契約期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の意思表示をする必要があり、且つ、「正当事由」が備わっていなければ、更新拒絶の効力が生じません。

 

「正当事由」はどんな場合に認められますか?

「正当事由」があるかどうかは、賃貸人側、賃借人側双方の事情のほか、立退き料の授受など総合的に考慮して判断されます。具体的には次のようなものです。

賃貸人が建物を必要とする事情(賃貸人の資力等)

賃借人が建物を必要とする事情(賃借人の資力等)

賃貸借に関する事前の経緯(賃貸借に至った経緯、権利金、更新料等の支払いの有無・金額、滞納家賃の有無など)

建物の利用状況(代替性の有無等)

建物の現況(建物の老朽化の程度など)

賃貸人による財産上の給付の申し出(立退料の提供)

一般的に、賃貸人がその建物を必要とする相当な理由がある場合であっても、それだけで正当事由ありと判断されるケースは少なく、多くの場合、正当事由を補完する金銭の給付(立退き料の支払い)が求められます。

礼金とは、賃貸借契約時に賃借人が賃貸人に対しお礼として支払う金銭のことで、契約終了後も、返還されないものです。

第二次世界大戦後の住宅不足のときに、立場の弱かった借主が、貸してもらいたい一心で、契約させてもらうお礼として賃貸人に支払った金銭の名残です。現在ではむしろ住宅過剰となっていますから、礼金0を売りにしている賃貸建物も多く見受けられます。

建物の性質等によりますが、概ね賃料1、2か月分であることが多いといえます。

建物を自分で使う必要が生じたので、立退き料を支払って退去してもらおうと思っているのですが、通常、どの程度支払う必要があるのでしょうか。

 

立退き料は、明渡の正当事由を補強する事情として機能するため、正当事由の内容により金額の多寡が左右されます。

 

立退き料とはどういうものか?

正当事由がある場合に限り、更新拒絶や解約申入れができるとされていますが、実際には「正当事由」だけでこれらが認められることは少なく、賃借人に対する金銭的給付(立退き料)がなされて初めて、更新拒絶等が認められることが多いです。

その意味で、立退き料は、明渡の正当事由を補強する事情として機能しているといわれています。

 

立退き料の相場

立退き料の額は、各種事情により定められるものであるため、確たる相場が存在するわけではありません。

対象の建物が住居用であれば、賃借人も比較的容易に移転先を探すことができますが、店舗であれば、出店場所によって大きく客足が変わるあるいは当面の減収などの事情により、賃借人が受ける影響が大きいため、立退き料の額も大きくなりがちです。また、建物の老朽化が著しい場合などは、立退き料は低く抑えられる傾向にあります。

具体的な事例における適正な立退き料の額については、過去の事例を参考とすることができます。また、提示金額等によっては、その交渉方法にも工夫が必要となります。

もし、立退き料のことでお悩みであれば、高木光春法律事務所にご相談ください。

賃借建物に修繕の必要が生じた場合、誰が修繕するのですか。

 

原則として、賃貸人が修繕をすべきことになります。賃貸人が修繕をしない場合は、賃借人自身がこれを行い、かかった費用を「必要費」ないし「有益費」として請求していくこともあります。

ただし、「修繕は賃借人が行う」との特約も有効であるため、そのような特約があれば賃借人負担で行うことになります。

 

賃貸人の修繕義務の内容

民法では、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています(606条1項)。

修繕が必要な場合としては、雨漏りがする、ドアに鍵がかからない、窓枠が外れている、電気・ガス・水道の設備が故障により使えない等が考えられます。

ただし、不具合があった場合であれば常に修繕をしなければならないわけではなく、破損・故障等により、賃貸借契約の利用ができない、あるいは著しく支障が生じる場合にのみ、修繕義務が生じるとされています。従って、水道のパッキングのすべりや障子やふすまの張り替えなどの修繕は借家人の側に修繕義務があるとされています。

また、賃借人自身が損壊した場合は、賃貸人は修繕する義務はないとされています。

 

修繕義務を借家人に負わせる特約の効力

借家契約では、「修繕費は借主が負担する」との特約条件が付けられることもあり、このような特約も原則として有効とされています。

ただし、一般にこの特約の射程範囲は、通常予想される修繕だけに留まり、例えば地震や水害等で予想もしない天災などで目的物を修繕する必要が生じたときは、賃貸人が修繕すべきと考えられています。また、高額な家賃をとっておきながら、大規模な修繕まで借家人に負担させる特約は無効と考えられます。

賃借人が賃料を滞納しています。滞納賃料を取り立て追い出したいのですが、どのようにしたらよいでしょうか。

 

弁護士名での請求書を、内容証明郵便で送付することが有効です。その後の交渉を弁護士に委任することも可能です。

 

内容証明郵便による請求

内容証明郵便とは、郵便として差し出した文書の内容を日本郵便株式会社から証明してもらう特殊な郵便方法です。請求自体を証拠化し、請求に対する強固な意思を示す趣旨で利用されます。

賃借人が賃料を支払わない理由として、単に「甘え」でズルズルと支払いをしなかったり、他への返済を優先し、賃料を後回しにしているケースもあります。そのような場合であれば、弁護士名での督促により、明渡請求に対する緊張感が生まれ、任意での支払いに応じてくることもあります。

また、内容証明郵便での督促は、支払を求めるという意味以外にも、紛争の存在自体を顕在化させるという意味もあります。

後日、明渡訴訟を提起する際にも、「賃料不払いにより信頼関係が破綻したか否か」が問題となる場合がありますので、早い段階で賃料の支払いを巡るトラブルが存在し信頼関係が希薄化していたことを証拠としておくことには、大きな意味があります。

 

家賃滞納がある場合の最終手段

弁護士名での督促状を内容証明郵便で送付しても任意に支払わない場合、さらなる法的手段を執る必要がありますが、事案や、賃借人の言い分等に応じた手続きをとる必要があります。

もっとも直接的なのは、明渡訴訟を提起し、その中で未払い賃料も請求していく方法ですが、未払い賃料の支払や明渡条件を巡って話し合いを持つため、民事調停を申し立てるという方法もあります。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、賃貸人の性格、言い分等、個別具体的な事情に応じて、実効的な回収方法を選択し、速やかに着手します。

賃料の未払い問題でお困りの際は、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

借地権を譲渡したいのに、賃貸人がこれに承諾しない場合、「借地非訟手続」という制度を利用します。これは、裁判所に、「地主の承諾に代わる許可」を求めるものです。

裁判所は、さまざまな事情を考慮し、相当と認めるときは、「地主の承諾に代わる許可」を賃借人に与えます。

ただし、その際には、いわば承諾料に代わるものとして、賃貸人に対する一定額の金銭の支払いが命じられるのが通常です。

なお、「借地非訟手続」を利用できるのは、「借地」の場合のみであり、「借家」の場合は利用できません。

 

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高木光春法律事務所では、賃借人の方の代理人として交渉を行うほか、必要に応じて借地非訟手続を申し立て、借地権譲渡の目的を達成します。

賃貸人との交渉が難航している際は、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

土地の賃貸借契約

①建物の所有を目的とするものかどうか ②建物の種類は住宅か店舗か ③期限(最低30年) ④借地権の譲渡と転貸 ⑤地代・敷金・権利金 ⑥地代の支払い方法 は最低限決めておきましょう。

例えば、閑静な住宅街に土地を所有しており、それを他人に貸すという場合、店舗などを建設されては困るという場合もあるでしょう。

土地の用途については、当事者間で自由に決めることができますので、その場合は、「居住用建物に限る」等の制限を定める必要があります。

また、一般に、鉄筋コンクリート造など堅固な構造の方が老朽化しにくく、賃貸人本人による土地利用が妨げられますので、どのような建物を許容するのかを、慎重に検討する必要があります。

建替えや増改築、大規模修繕等については、賃借人による土地利用を長期化させ、賃貸人本人による土地利用が妨げられますので、書面による賃貸人の承諾を要するとするのがよいでしょう。建替え、増改築、大規模修繕の申し出があった際は、承諾料の支払と引き換えに承諾するのが一般的です。

契約更新時、更新料の支払いを求めたい場合は、その点を契約書上で明らかにしておく必要があります。更新料については法律に規定がなく、契約条項にない限りは請求が認められません。

 

建物の賃貸借契約

①期限(1年以上―定期借家権を除く) ②用途の制限 ③譲渡転貸の禁止 ④家賃、敷金などは最低限決めておきましょう。賃貸人の権利を強化するために造作買取請求権の排除や、契約解除時の明渡遅延相当損害金額を、賃料相当額の2倍にする等の事項を盛り込む場合もあります。

建物の賃貸借契約の場合、賃借人による造作買取請求権を契約条項で排除しておくことができます。

造作とは、建物に取り付けられたもので、建物をより使いやすくするもの、例えば、畳、ガラス戸、雨戸、ふすま、障子、電気・ガス・水道の設備、飾戸棚などで、賃貸人の同意を得て設置した造作、賃貸人から買い取った造作は賃借人の契約不履行によらずに契約が終了した後、賃借人は賃貸人に対し買取を請求することができます。

買取価格は当該造作の客観的な時価ということになりますが、必ずしも具体的な価額は明らかではないので、賃貸人・賃借人間で意見がまとまるとは限りません。そこで、賃貸人としては、あらかじめ特約で請求権を排除しておくことができます。

また、賃料不払いなどで建物賃貸借契約を解除した際、より早期に明渡をさせるため、契約解除以後の明渡遅延相当損害金の額を賃料相当額の2倍にする等の事項を盛り込むこともできます。

2倍程度であれば、有効と判断され得ますが、それ以上となる場合は、契約条項自体が無効と判断される場合もあるので、注意が必要です。

 

せっかく契約条項を定めても無効とされる場合があるか?

借地借家法等の強行法規に反する規定、借地人にとって一方的に不利な規定は、無効とされる可能性があります。

例えば、「1度でも賃料の支払いを遅滞したら契約を解除できる」、「解除した後は、賃貸人が代わりに中の物を排除するなどして明渡を強行でき、後日、その費用を請求できる」等の規定や、法外な更新料を定める規定などは、無効となります。

賃貸人側の便宜のため、合理的な理由なく賃借人に負担を課すような条項は、後日トラブルのもととなるので、慎重な配慮が必要です。

 

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高木光春法律事務所では、契約書書式のチェックや、契約条項の解釈をめぐるトラブルなどについて、ご相談・ご依頼をお受けしております。個別具体的な事例に沿ったアドバイスを差し上げます。

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