ごきげんよう、ジムカタです。
先日の仕事帰りに夜桜を見る機会がありました。開花から日が経つものの、未だ咲き残っていた宇都宮城址公園の河津桜です。宵闇に浮かぶ名残の桜を見ていたら、週末の疲れがゆるやかに解けていくようでした。
ここのところだいぶ気温も上がり、すっかり春らしい日々になってまいりましたね。寒い冬を経て、春は芽吹きの季節。草花の開花や季節の変化に自分自身の成長や変化を重ねたり、また心を開いて他者と接する前向きな姿勢や生きる喜びを重ねる方もいるかもしれません。
「心を開くとは、他者に迎合することではない。」と、自身の著書『悲しみの秘儀』の中で若松英輔は書いています。そうすると、「相手だけでなく、自己からもどんどん遠ざかってしまう。」むしろ、「心を開くとは、自らの非力を受け入れ、露呈しつつ、しかし変貌を切望することではないだろうか。」と続けています。
『悲しみの秘儀』は、妻を亡くした若松が悲しみや喪失、孤独という感情と向き合いながら綴った作品。数年前に購入したものの著者の言葉を受け取る準備が十分でなかった私が、また少し人生経験を重ねた今ひも解いてみると、深い悲しみを経た温かな眼差しによる言葉の数々で、心がふくよかに満たされていくのを感じます。良質な読書体験によってもまた心が開かれ、知らなかった自分に出会うこと・変化を楽しむことも出来ると思うのです。
ちなみに上記の若松の文章は、次のような文で締めくくられています。
「変貌の経験とは、自分を捨てることではない。自分でも気が付かなかった未知なる可能性の開花を目撃することである。」