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法律コラム/債務整理のタイミング

望ましいことではないですが、多額の債務を抱え、破産手続きによる債務整理が必要となることがあります。

特に、事業をしている方などは、取引先に迷惑をかけないよう、ぎりぎりまでがんばってしまうことも珍しくありません。

しかし、ここに二つの落とし穴があります。一つは裁判所に納める予納金、もう一つは、「否認権」です。

 

実は、破産手続きには結構な金額の費用がかかることがあります。

勤め人であれば、裁判所に納めるお金は一,二万円程度で済むこともありますが、個人事業主でも数十万円、法人破産になると百万円近くの準備が必要となることも珍しくありません。

場合によってはこの費用が捻出できず身動きが取れなくなってしまうこともあります。

 

また、関係が深い取引先に迷惑をかけないよう優先的に支払いをしてしまったり、資金繰りのために不動産などを売却してしまったりすることがあります。

破産の際には、財産を管理する「破産管財人」に否認権という権限が認められています。これによって、一部の債権者だけに対する支払いの返金を求められたり、不動産などの売却を取り消されてしまったりすることがあります。また、これを理由に財産隠しなどを疑われてしまい、破産手続きがスムーズに進まなかったり、却って迷惑をかけてしまうこともあります。

 

このように、本当に資金が回らなくなるぎりぎりになってから破産手続きについて相談すると、様々なリスクがあります。

早期の弁護士への相談が効果的な場面は多いですが、会社の債務整理は特にその傾向が強い分野と言えるでしょう。

事務局ブログ/心も開く季節

ごきげんよう、ジムカタです。

先日の仕事帰りに夜桜を見る機会がありました。開花から日が経つものの、未だ咲き残っていた宇都宮城址公園の河津桜です。宵闇に浮かぶ名残の桜を見ていたら、週末の疲れがゆるやかに解けていくようでした。

ここのところだいぶ気温も上がり、すっかり春らしい日々になってまいりましたね。寒い冬を経て、春は芽吹きの季節。草花の開花や季節の変化に自分自身の成長や変化を重ねたり、また心を開いて他者と接する前向きな姿勢や生きる喜びを重ねる方もいるかもしれません。

「心を開くとは、他者に迎合することではない。」と、自身の著書『悲しみの秘儀』の中で若松英輔は書いています。そうすると、「相手だけでなく、自己からもどんどん遠ざかってしまう。」むしろ、「心を開くとは、自らの非力を受け入れ、露呈しつつ、しかし変貌を切望することではないだろうか。」と続けています。

『悲しみの秘儀』は、妻を亡くした若松が悲しみや喪失、孤独という感情と向き合いながら綴った作品。数年前に購入したものの著者の言葉を受け取る準備が十分でなかった私が、また少し人生経験を重ねた今ひも解いてみると、深い悲しみを経た温かな眼差しによる言葉の数々で、心がふくよかに満たされていくのを感じます。良質な読書体験によってもまた心が開かれ、知らなかった自分に出会うこと・変化を楽しむことも出来ると思うのです。

ちなみに上記の若松の文章は、次のような文で締めくくられています。

「変貌の経験とは、自分を捨てることではない。自分でも気が付かなかった未知なる可能性の開花を目撃することである。」

 

弁護士ブログ/「事務」というものについて

皆さんは、「事務」という言葉を聞いてどう思うだろうか。統計によれば、事務職は日本の労働人口の実に2割を越え、全業種のトップということだ。

しかし、事務から連想するイメージは、「事務処理に追われた」「事務的な態度」「事務的な電話」とすこぶるよくない。「事務処理能力がある」というのも、心からの誉め言葉ではなく、能力が高いというよりも、小手先の要領の良さを指すことが多いようだ。

事務を悪者にすることに慣れている我々は、国や企業から現金を受け取るときに、なんやかやと書類を書かされる。「なぜ、こんな事務作業をやらされるのか」とイライラし、怒り、絶望する。

このように、我々は事務を嫌い、疎んじ、ときに恨んだりする反面、事務の魅力に取り憑かれ、「事務愛」のようなものがあるようだ。まさに、事務は、ambivalentな性格を持っている。

フランス革命の際、ギロチンに掛けるために作られた訴追状を事務職員が捨ててしまったために数百人の命が救われたという逸話がある。強い権力も、事務の前に平伏すこともあるのだ。

事務は、ときに「どうでもいい」と思われがちだが、事務処理の持つ必要性、機能そして底力のあることも否定できない。

 

こんな出だしで始まる「事務に踊る人々」(阿部公彦著)は、私の思いを言い当てる名著である。

 

 

事務局ブログ/卒業

春は出会いと別れの季節。

息子2人の義務教育も終了し、次男も来月からは高校生になります。

 

次男の卒業式に出席しながら、自分は親の務めを果たせていたのだろうかと考えてしまいました。あの時こうしていたら…と息子に対する自分の行動や言動について後悔や反省したことばかりを思い出してしまい、重い気持ちで潰れそうになっていた先週の休日。

 

そんな私を心配した長男から、

「自分で決めてきたことだから気にしなくていいと思うよ。」

と言われたことで、目が覚めました。

 

いつの間にか親が思っているよりも子供たちは成長しておりました。

深く考えてしまったのは、私が必要以上に新しい生活に不安を感じていただけなのかもしれません。

 

私も中学生の子を持つ親としては卒業です。

これからは家族のことも気負わずに温かく見守っていきたいです。

 

早咲きの桜を眺めながら、新学期から数が増えるお弁当作りも頑張ろうと思いました。

弁護士ブログ/3月11日

昨日で東日本大震災から13年を迎え、新聞やTVでも関連する話題が多く流れています。

栃木県内でも、家屋などに被害を受けた方は多いのではないでしょうか。

私は震災があった当時は、大学卒業直前で、一度栃木県に帰ってきていました。

地震の時は外出先におり、実家に祖父と、車椅子の祖母が2人きりだったので、とりあえず家に帰ることにしました。電気が切れて灰色になった信号の交差点を、交通整理もなく、譲り合いながら通ったことを今でも覚えています。

結局、実家の被害は瓦が落ちて食器棚が壊れたくらいで、祖父は「俺がバアちゃんを守ったんだ」と自慢げにしていました。

 

一方で、伝え聞くニュースでは、地震で生活がめちゃくちゃになってしまった人の話も流れていました。

私はその後、法科大学院に進学し、現在に至るわけですが、大学などはちょうど学費を支払う直前の震災でしたから、東北の被災地では進学などに悩んだ方も多いのではないでしょうか。

給付行政の対応で弁護士に頼ることは少ないかもしれませんが、実は被災者支援に活躍する弁護士もいます。

私自身、必ずしも震災に関連する相談というわけではありませんが、弁護士登録した当初は、法テラスの震災法律援助による法律相談の分担を受けていました。

日本は地震の多い国ですから、今後弁護士を続けていくうちには、また栃木県を被災地域とする震災が訪れることもあるでしょう。

その際は、法律分野で被災者を支援する活動ができればと思います。

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