歴史的・世界的に刑罰は、剥奪の対象とされる犯罪者の法益の種類に応じて以下のようなものがあります。
- 生命刑(人の生命を奪う刑罰)
- 身体刑(人の身体を侵害する刑罰)
- 自由刑(人の身体の自由を奪う刑罰)
- 財産刑(人の財産を奪う刑罰)
- 名誉刑(人の名誉を奪う刑罰)
わが国の現行刑法では、生命刑としての死刑、自由刑としての懲役・禁錮・拘留、財産刑としての罰金・科料・没収のみ認められています。
刑の具体的な執行内容は、刑法によって定められています。例えば、以下のように定められています。
「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」(刑法第199条)
これはいわゆる殺人罪に関する条文規定となっています。しかし刑の範囲が一番重いもので死刑、一番軽いもので5年の懲役と振れ幅が非常に大きいものとなっています。よって実際に宣告される刑の内容は、裁判所の判断に委ねられることとなります。これを量刑判断といいます。
現行刑法の全ての刑罰規定において、量刑判断の基準に関して明示したものはありません。前述した殺人罪においても、死刑になるか懲役刑になるかは先例の積み重ねによって、事実上の選択基準が形成されているに過ぎません。量刑の判断には、明示されたものがあるわけではなく犯行の情状などに鑑みて、処断刑の範囲内で宣告されるものとなっています。(まれに、処断刑の範囲を超えた判決が言い渡される場合もあります。)