賃貸借契約書には何を記載すべきか?

今度、不動産を借りる予定があります。契約書には何を書いたらいいですか。

土地の賃貸借契約

①建物の所有を目的とするものかどうか ②建物の種類は住宅か店舗か ③期限(最低30年) ④借地権の譲渡と転貸 ⑤地代・敷金・権利金 ⑥地代の支払い方法 は最低限決めておきましょう。

①建物所有の目的について

一般に、鉄筋コンクリート造など堅固な構造の方が老朽化しにくいので、賃貸人がいざ土地を利用する目的が生じた場合に利用が妨げられる場合があります。これは、賃借人の建物所有の目的にも関わりますので、どのような建物を許容するのかを検討しておく必要があります。

②建物の種類について

閑静な住宅街に所有する土地を他人に貸した場合、にぎやかな店舗などを建設されては困る場合も想定されます。土地の用途については、当事者間で決めることができますので、使用目的を限定したい場合は、「居住用建物に限る」等の制限をあらかじめ定めておく必要があります。

③期限について

建物所有目的の土地賃貸借契約、建物賃貸借契約では、期間が満了しても、賃借人が望めば、契約は更新されます。借地借家法の改正により、定期借地権及び定期借家権の制度ができたので、更新をしない契約をすることができます。この場合は、契約書は公正証書など書面にする必要があります(借地借家法22条、38条1項)。

④借地権の譲渡と転貸

建物所有目的の借地権は、財産的価値があり、他に譲渡できます。しかし、借地権譲渡には地主の承諾あるいは裁判所の許可が必要です。予め契約の際に明示しておくと、無用のトラブルを防ぐことができるでしょう。

⑤地代・敷金・権利金

賃料額については、特に明確に規定しましょう。契約更新時、更新料の支払いを求めたい場合は、その点を契約書上で明らかにしておく必要があります。更新料については法律に規定がなく、契約条項にない限りは請求が認められません。

建物の賃貸借契約

①期限(1年以上―定期借家権を除く) ②用途の制限 ③譲渡転貸の禁止 ④家賃、敷金などは最低限決めておきましょう。賃貸人の権利を強化するために造作買取請求権の排除や、契約解除時の明渡遅延相当損害金額を、賃料相当額の2倍にする等の事項を盛り込む場合もあります。
造作とは、建物に取り付けられたもので、建物をより使いやすくするものを指します。具体的には、ガラス戸、雨戸、ふすまや障子、畳、電気・ガス・水道の設備などが含まれます。借主が、貸主の同意を得て設置した造作や、貸主から買い取った造作は、借主が賃料を支払わない等の契約不履行によらずに契約が終了した場合は、借主は貸主に対して造作の買取請求をすることが可能です。
この場合の買取価格は、問題となる造作の客観的な時価です。しかし、具体的な価額は明らかではないことから、後の紛争を防ぐために、貸主側はあらかじめ特約で買取請求権を排除しておくことができます。

借主の賃料不払いなどで建物賃貸借契約を解除した場合には、契約解除以後の明渡遅延相当損害金の額を、賃料相当額の2倍にする等の特約を盛り込んでおくことで、借主の居座りを防いで、早期の建物明渡を実現させることができます。但し、あまりにも高額の明渡遅延相当損害金を設定すると、契約条項自体が無効と判断される場合もあるので注意しましょう(2倍程度ならば有効と判断されます)。

せっかく契約条項を定めても無効とされる場合があるか?

契約条項を定めても、借地借家法等の強行法規に反する規定、借地人に一方的に不利な規定は、無効とされる場合があります。
具体的には、「賃料の支払いを1回でも遅滞したら契約解除できる」、「契約解除後は、賃貸人が建物内の物を排除して明渡を強行でき、後日、明け渡し費用を請求できる」等の規定や、法外な更新料を定める規定等は、無効とされます。
貸主側の便宜を図るために、貸主に対して合理的な理由のない負担を課す条項は、後々紛争の元になりかねません。契約条項について不安がある場合は、事前に弁護士など専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

高木光春法律事務所のサービス

高木光春法律事務所では、不動産賃貸借契約の書式の確認や、契約条項のアドバイスなどを、依頼者の事情に応じてご提供できます。土地・建物の賃貸借契約についてお困りの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。


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