法律コラム/誕生日は何歳

今回は年齢と誕生日についてのお話です。

年齢は誕生日に一つ増えるもの、しかし法律上はいつから新しい年齢を名乗ることになるのでしょうか。

戸籍や住民票には生年月日しか書いていませんから、とりあえず産まれた時刻ではなさそうです。

 

ざっと調べたところ関係しそうな法律は2つあります。

1つは、「年齢のとなえ方に関する法律」。第1条で次のとおり定められています。

 

  • この法律施行の日以後、国民は、年齢を数え年によつて言い表わす従来のならわしを改めて、年齢計算に関する法律(明治三十五年法律第五十号)の規定により算定した年数(一年に達しないときは、月数)によつてこれを言い表わすのを常とするように心がけなければならない。

 

要するに、年齢を言うときは、「年齢計算に関する法律」で算定した年数を使うこととされています。ちょっと面白いのは赤ちゃんの年齢の言い方です。月で言い表すのは1歳までなので、例えば「8か月」というのは法律どおり、「1歳2か月」というのは法律の定めからは外れてしまうようです。

もちろん「心がけなければならない」だけなので、「1歳2か月」と言っても違法というわけではありません。

 

ちなみに、施行されたのは1950年1月1日、戦後に入ってからとなります。

 

 

具体的な計算方法の確認のため、次は「年齢計算ニ関スル法律」の関連条文を見てみましょう。古い法律なので、法文はカタカナです。

 

  • 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
  • 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス

(民法)

第百四十三条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。

2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

 

試しに私の生年月日である、1988年10月11日で見てみましょう。

起算日は出生の日なので1988年10月11日。

10月11日は年の初めではないので、最後の年において起算日に応当する日の前日が満了日です。

直近で私の出生に応当する日は2023年10月11日だったので、その前日、2023年10月10日を満了日として、暦に従って2023-1988=35年の期間が満了したことになります。つまりは、2023年10月10日が終わることで、はれて出生から35年、35歳を名乗れるようになったわけです。

 

というわけで、法律上新たな年齢を名乗るのは、いわゆる誕生日の前日が終わったタイミングからとなります。実質的には誕生日から新たな年齢、と言って差支えないでしょう。

 

 

ちなみに、閏年の2月29日生まれの人の平年の年齢は「最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。」なので、2月の末日である28日が終わったタイミングで1つ増えることとなります。

 


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