弁護士ブログ/ 高木光春ーチーズはどこへ消えた?ー

先日、某大手新聞の朝刊に

「チーズはどこへ消えた?」ー大ベストセラー

というクリッピングが掲載されていた。あのパスタ系の専門店であるサイゼリアが粉チーズの無料提供を終了することに関連した記事である。

「チーズは・・・」は、スペンサー・ジョンソン著の世界的ベストセラーで日本でもその翻訳本が扶桑社から出版されており、これに掛けた記事である。簡単に内容を紹介すると、失ったチーズ(人生の目標の例え)を探そうとあれやこれや考えてばかりいないで、一歩前に進む(行動に移す)ことの大切さを教訓にするというものだ。ここでは、この教訓についてうんぬんする訳ではない。

実は、その後を追って道出版からデインー・リップルウッド著の『バターはどこへ溶けた?』という翻訳本が出版された。扶桑社側からの著作権侵害を理由とする仮処分の申立てを受け、東京地裁は、道出版の『バターは』は、著作権(翻案権)の侵害にあたるとして仮処分決定を出した(平成13年12月19日)。パロディであっても著作権侵害の可能性はあるとした訳である。

パロディでも著作権侵害がありうるという一般論は認められるとしても、パロディが社会的進歩にとって有益な場合もあり、民主主義社会における言論の自由の重要性からも、広範に著作権侵害を認めることには慎重であるべきであろう。

 


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