あなたの家の墓はどこにありますか?地方自治体や民間霊園の墓地にあるというなら、これからの話は出てきません。墓が寺院の墓地にあるとなると、檀家として以下のような問題が出てきます。
檀家制度の始まりは江戸時代の寺請制度だと言われています。檀家は、元々世代を跨いて寺院を支えていくという役割を担っていたようです。そして、戦後復興を成し遂げた我が国において、多くの国民が墓を買い求め、御影石を用いた墓を作るようになったのです(「墓じまい」で心の荷を下ろす 島田裕巳著 詩想社新書)。
しかし、少子高齢化の進行が顕著になった昨今では①子供が育った田舎を出てしまい後継者がいない②高齢で体力的に墓参や法事に出向けない③代替わりが進み墓やお寺への愛着が希薄化するといった理由から墓じまいとか離檀といった問題が生じています。
お墓を寺院に返還する手続、つまり離檀の手続は、埋蔵証明書という書類をお墓の管理者である寺院からもらい、新たな移転先の市町村から改葬許可証をもらって遺骨を移転します。元の寺院ではお墓の魂抜き(閉眼供養)をするのが慣しのようです。
ところで、墓は、終の住処などと言われますが、そもそも墓地は誰のものなのでしょうか。「墓を買う」という言い方がされますが、墓地は所有物というより借り物というべきです。墓地は、墓を建てる目的でのみ使用できる訳で、他の目的では使えません。また、世代を跨いで永続的に使用できる権利ですから、墓地の買取料は「永代使用料」と呼ばれます。但し、管理料は、別途かかります。
そして、檀家になるということは、寺院のスポンサーになるということです。そして、寺院は、住職一家の所有物ではなく、その一家の属する宗教法人の所有物です。
さて、離檀する際、いわゆる離檀料を寺院に払う必要があるのか、あるとしていくら位払ったらいいのかということが最近話題になっているようです。
ある意味、檀家制度を維持することが困難になりつつある昨今、寺院の立場からすれば、歯が抜けるように勝手に離檀されてしまえば、お寺の財政的基盤すら危うくしかねない事態になってしまうのです。
ということになると、檀家が「もう墓はいらないから遺骨を持って出てゆく」と一方的に通告したとき(墓自体は自費で壊すのが常識とは思いますが)、寺院側として「先祖代々の墓を何だと思っている」と怒り「出てゆくなら離檀料を置いてゆけ。払わないなら遺骨の持ち出しはまかりならん」といった具合にトラブルに発展することになる訳です。では、離檀料は、どうしても払わなければならないのでしょうか。この続きは次回に。